近年、ジョブ型雇用がさかんに言われていますが、雇用制度
は、あくまで企業の実情にあったものでなければなりません。
とくに中小企業では、ジョブ型雇用制度などを導入すること
が、そもそもむずかしいのではないでしょうか。それほど専
門的ではない仕事が多く、もちろんなかには、かなり専門的
な仕事もありますが、一般的には専門性が高くない多くのメ
ンバーでいろいろな仕事をやっていくことになります。
ジョブ型雇用制度は、欧米では当たり前と言われていますが、
欧米でも好業績を出している企業をみれば、必ずしもジョブ
型ばかりではありません。例えば、米国鉄鋼業のニューコア
などは長い仕事経験を活かし、さらにクロスファンクション
型の行動を支持しながら経営するという日本にもある経営ス
タイルと雇用を維持している企業です。
私自身はジョブ型を導入する必要性をあまり感じていません。
勿論、金融などの高い専門性が求められる企業では、当然、
プロフェッショナルな人材による事業運営が必須なのでしょ
う。
中小企業では、もともと普通の人材しか採用できませんし、
採用できた人材にどのように活躍してもらえるかを考えるこ
とが当たり前でしょうか。
私のように営業しかできない、しかもたいした営業レベルで
もない人間をソニー子会社の社長が「やりたい奴にやらせる」
といって採用してくれましたが、その勇気が称賛されるべき
でしょう。人は信じてもらえると働くものです。まさに、中
小企業にピッタリの採用と雇用ではないでしょうか。
人間はやらせてみなければ、その人の能力はわからいもので
す。中小企業の経営者こそ、その勇気が大切なのかもわかり
ません。
一方、勇気ある経営者は深い悲しみを覚えています。人は、
思うように働いてくれない、と。