個人事業主から法人へ変更(法人成り)する場合、課題とな
るのが、役員報酬や給与、あるいは社会保険料の支払いでし
ょうか。個人事業では、事業主は国民年金と国民健康保険に
加入することが多いでしょう。手続きや事務の負担はほとん
どありませんが、法人を設立して社長になると、会社から自
分に給与(役員報酬)を支給します。そのため給与計算を行
い、所得税、住民税や健康保険(協会けんぽ)や厚生年金な
どの源泉徴収を行って納付することになります。さらに毎年
年末調整を行います。
個人事業で自分一人の場合、給与を支払うこともなく、給与
計算などの事務負担がありません。収入から必要経費を引い
た金額が所得(利益)となります。
ただし、従業員を雇用している場合、所得税や住民税の控除
が必要です。さらに労働保険(労災保険・雇用保険)に加入
する必要があります。また、個人事業主でも従業員を5人以
上雇用すれば、厚生年金保険への加入が必要となります。
法人成りする場合、もっとも課題となるのが社会保険料でし
ょうか。健康保険料と厚生年金保険料ですが、事業主負担が
約5割ですから、ここで頭を抱える経営者が多くいます。
月額給与約30万円の社員を5名雇用すれば、健康保険料と
厚生年金保険料の事業主負担(会社負担)は、年間約250
万円ほどになります。同時に、経営者自身の保険料が発生し
ます。この点で法人成りを躊躇している個人事業主がいると
思われます。
このような課題に関しては、会計士(税理士)さんとよく相
談されながら適切なタイミングで法人成りすることが求めら
れるでしょう。