企業を成長させていくためには、総額人件費を理解しておく
ことが大切です。総額人件費とは、従業員に支給する給与や
福利厚生費等、人にかかわる費用を合計したものです。
内訳は、基本給、固定的諸手当、変動的諸手当、賞与からな
る現金給与と、退職金、法定福利費、法定外福利費、教育訓
練費、採用募集費等から構成されてる人件費です。
一般的には、従業員一人当たりの総額人件費は基準内給与(
基本給と固定的諸手当)の約1.7倍程度になります。
資料:構成労働省
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事業計画上、毎期、昇給ベースを加味して総額人件費を算出
します。当然、その期における予定売上と予定利益計画を検
討します。
中小企業の場合、詳細な内容よりも大枠で人件費を捉え、必
要経費を算出しながら、予定売上と利益計画を出しておくこ
とが大切です。人件費に見合う売上高と利益を知ることで、
具体的なアクションプランを考えることができるようになり
ます。
大手企業では、春闘における賃上げだけにとらわれることな
く、あくまで総額人件費の中で賃金を把握しています。賃上
げをおこなったが、減益になったのではなんのための賃上げ
かわかりません。企業はあの手この手で総額人件費の圧縮に
努めます。早期退職プログラムなどは、その最たる施策でし
ょうか。
中小企業の場合、そもそも従業員数が多くありませんから、
早期退職プランなど簡単におこなうことができません。賃上
げは自社の稼ぐ力からしか対応できません。だからこそ、全
社員参加でアクションプランを実行しなければなりません。
のんきに構えていると、賃上げ倒産ということもあり得ます。
今の時代、中小企業ほど自社が置かれているポジションを全
社員で共有して置くことが大切ではないでしょうか。
社員に働いてもらうために社員を信頼してみてはいかがでし
ょう。