中小企業に限らず経営者のまわりの取り巻きをみることで企
業の体質がわかるものです。その多くは経営者の意向をくむ
タイプでしょうか。理由は簡単でしょう。自分の地位を確保
し、報酬等を得るためです。他方、経営者は、うるさく指摘
するタイプの部下よりは、「よいしょ」してくれる部下の方
が気分がよいのでしょう。
事業がうまくまわっているときは、それでも何の不都合もあ
りませんが、一旦、事業が逆回転をはじめると、このような
部下は役に立ちません。そもそも好調時に役に立たない人た
ちが逆境時に役に立つはずがありません。
私が経験したなかでもっとも最悪なケースは、取り巻きの判
断を鵜呑みにして破産したことでしょう。役員や社員を信頼
することは大切なことですが、現場でなにが起きているかを
知る手立てを複数もっていない経営者は、最悪な状況になる
ようです。
多くの経営者、ワンマン経営者といえども現場を知る努力は
するものです。なかには、特定の部下から上がってくる情報
だけで経営判断する経営者がいます。この場合、もっとも経
営を悪化させてしまいます。理由は、極端なバイアスがかか
った情報が多くなるからです。経営者は一人で経営はできま
せんが、複数のルートで現場の状況を把握できるようにして
おかなければなりません。最終的な判断は、経営者自身がす
るものであり、それこそが経営責任だからです。
結論からすれば、厳しいことも言う人間を含む衆知を集める
ことができる経営者だけが、企業を成長させていくことでき
るのかもわかりません。