中小企業では、安全配慮義務など考えていないところも散見
されますが、一度事故が発生すれば、労働基準監督署の臨検
等で徹底的に調査されます。
私が経験した企業では、株式公開を目指すために入社してわ
ずか数か月後に労災事故が発生しました。もっとも、大手企
業で安全管理など豊富な経験がある方を採用して、これから
安全管理体制の構築をしていく矢先の事故でした。
企業が拡大ステージに入ると業務量が人の配置より先に増加
することが多いのではないでしょうか。一人は指を切断、も
う一人は、ショベルカーの稼働半径に入り腕を接触させて複
雑骨折しました。経営者も安全管理体制の構築を進めようと
していましたが、少しタイミング遅かったようです。
安全配慮義務も図にしてイメージしておくことが大切です。
企業ばかりに義務があるように考えている社員が多いのです
が、社員側には、自己安全義務、自己保健義務、安全行動義
務があります。仕事をするとは、企業にも設備や機器、ある
いは健康診断、さらに安全に作業させ指揮命令がありますが、
社員にも相応な義務が課せられていることを忘れてはなりま
せん。
指を切断したケースでは、安全行動義務違反が疑われました。
もう一つのケースでは、企業の作業管理と社員の安全行動義
務違反が問われました。
企業における安全管理は、企業と社員双方に義務があり、企
業が体制を構築するとともに社員がおこなう安全行動などが
かみ合うことで成立することになります。
中小企業の場合、経営者にも社員にも安全管理意識に課題が
あることが多く、企業規模が拡大していく中で安全管理体制
の構築が追いつかず後手に回って重大事故を引き起こします。
企業規模に対応しながら、大手企業の経験者を採用し、はや
めの体制構築が求められるところです。