パワ ーハラスメントを考える場合に難しいのは、わが国では
使用者に労働者に対する指導教育や、その態度、言動その他
において企業人として不適格な場合、その改善に努力するこ
とが求められており、上司には、部下に対する指導教育の権
限と義務があることです。
とくに解雇が問題になる場合、企業は雇い入れた社員に対し
て上司を通して社員の指導教育をおこない効率的で安全な職
務遂行ができるように社員を教育指導する義務が認められ、
また、徹底を期すためには場合によっては叱責をもって是正
改善が求められ、そのような努力を企業がおこなわないで解
雇した場合、解雇権乱用で無効となります。解雇に関する判
例は、社員の教育指導を積極的に是認しています。
企業活動におけるパワーハラスメントについては、近年、双
方の齟齬からくる場合も多いのではないでしょうか。上司は、
指導に熱心だが、社員は、それらをパワハラだと感じること
でしょうか。このようなケースでは、企業内で解決すること
がむずかしい場合もかなりあるように思えます。
私は、以前に書きましたように、まわりの社員から無視され
ようが、経営者にくびと言われようが気になるタイプではあ
りませんが、企業内部では、このような無視やパワハラとい
える行為は結構あると、推定しています。実態が外部に出に
くいのでかなりの件数が暗数になっていると思われます。
学校などの教育現場とたい差ないのかもわかりません。
それでも管理職は、少なくとも社員への指導監督権限とパワ
ーハラスメント限界を理解しておく必要があります。この点
でも図でイメージしておくことが有効でしょう。