中小企業では、だいたい労働組合がなく、過半数代表者を選
出していますが、選出に当たってメール等、オンラインを活
用している場合があります。全社員が集まる朝礼でもあれば
別ですが、全員が集まる機会がない場合にメールを利用して
選出ケースがあります。私もある企業で実際に経験しました
が、このような手続きは適法なのか、疑問がわくところです。
過半数の代表者の選出概要は、労使協定を締結する場合の労
働者側の当事者は、「当該事業場の労働者の過半数で組織す
る労働組合」、または、そのような労働組合がない場合には
「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」(以下、過半
数代表者)となっています。
ただし、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の
地位にある者(編注:管理監督者)でないこと、さらに法に規定
する協定等をする者を選出することを明らかにして実施され
る投票、挙手等の方法による手続により選出された者であっ
て、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと、とな
っています。
通達では、持ち回り決議による選出も認められていますから、
メール等で告知し、これに「信任」「不信任」を記載した返
信をすることで過半数代表者を選出するという方法が取られ
ているようです。
他方、このような選出をする場合、「回答期限までに返信を
しない場合、信任をしたものと見なす」という方法が可能か
という点が問題となりそうです。
弁護士によっては、支持をすることの明確な表示はなく、回
答がないという消極的な意思表明しかない以上、このような
方法で過半数の支持を得たという評価はできないとしていま
す。。私が経験した企業では、社員全員に「信任」「不信任」
を表記してもらっていましたから適法だと言えそうです。
弁護士は、期日までに返信がない場合には、催促した上で意
思表示をしてもらうべきであり、勝手に「信任」があったも
のと見なすことは避けるべきだとしており、実務上、私も同
様に考えています。
中小企業では、かなりいい加減な選出がされているケースが
多く、36協定などでは、過半数労働者代表と協定を締結す
ることが刑事罰の免責する要件となっています。この点でも
適法に過半数労働者を選出しておくことが重要です。経営者
は、間違っても息がかかっている従業員を選出をするような
ことがないようにしなければなりません。そのような対応を
すれば刑事免責されないことになるでしょう。
労使協定書さへ締結していない中小企業が意外とあると思わ
れます。点検してみてください。