中小企業で働いて驚いたことのひとつに配当しないことがあ
ります。ある経営者へ確認してその理由がわかりました。
税金です。
平成18年施行の会社法により配当金はいつでも出せるよう
になりました。決算後の定時株主総会に限らず、原則として
株主総会の決議があれば、可能です。以前は利益から配当を
するという考え方でしたが、会社法施行後は剰余金から配当
をするという考え方になりました。配当可能な剰余金とは、
純資産額(資産−負債)から資本金と準備金を控除した額で
す。ただし、剰余金があったとしても純資産額が300万円
を下回るときは配当をすることはできません。期中に配当を
する場合は、期末の決算時点で純資産額が300万円を下回
らない範囲で配当をおこなうことができます。
問題は配当後の税金でしょうか。一般的な内容になりますが、
法人が配当金をもらう場合、配当金から控除する税金は、上
場株式と非上場株式では異なります。上場株式の場合は、配
当金から所得税および復興特別所得税のほかに、住民税も控
除します。
これに対して非上場株式の場合には、住民税は控除しません。
また、上場株式は所得税15%+住民税5%がベースになりま
すが、非上場株式は所得税20%がベースとなります。
さらに、それぞれの所得税に対して2・1%の復興特別所得
税を加算します
同族会社である非上場会社では、配当金を出さないことが多
いようですが、その理由は、配当金が損金となりませんから、
配当金を出しても法人税は減りません。そうであれば配当金
を出すよりは役員報酬を増やした方がよいことになります。
非上場会社で配当金を出すのは、外部の株主がいる場合や社
員持株会などをつくったときのようです。
結論からすれば、役員報酬を多くしておいたほうが有利なよ
うで、私が経験した企業の経営者は同様の対応をしていまし
た。いずれにしても専門的な知識をもった方の検討が必要で
すから顧問の税理士さんとよく相談したうえで対応してくだ
さい。