企業経営は人間の遊びの部分をどうとるかの勝負でしょうか。
理由は、ソニー子会社時代の経験です。とにかく、仕事に遊
びの部分があるのです。しかも、経営者がその遊びの部分を
許容しているような。。。
私が新卒で入社した会社でも遊び部分はありました。上司を
はじめ先輩たちという限られた範囲でしたが、他方、企業運
営は硬直していました。だからでしょうか、遊びの部分を活
かした経営はできませんでした。その結果は、競合他社との
合併でした。私からすれば当然の帰結だと思います。
ソニー子会社に転じて最初に感じたことは自由に議論ができ
る環境があることでした。こんなに上下関係なく話ができる
のだという驚きです。驚きはさらに続きます。上司や先輩と
いう立場を超えて議論し、やるべきこを自由に提案できるこ
とです。クロスファンクショナル機能そのものだったでしょ
うか。もっとも、意図的に作られたクロスファンクショナル
な機能ではありません。やりたい人たちが自由にやれるとい
う横断的な機能でしょうか、好奇心旺盛な私には夢のような
環境でした。
その根底にあったものは経営者の姿勢です。この方、ソニー
の創業から10年ほど経過したソニーの前身東京通信工業へ入
社されていたことでしょう。創業時のソニー的なマネジメン
トを体現されていたようです。このようにマネジメントを人
に体現させ、しかも長い間、このような現象が続くことは稀
なことでしょうが、私が入社した当時は井深さんや盛田さん
が在籍しておられ、盛田さんはまだ部長会同(幹部の会議)
に出席されていました。この時期でも創業時代のようなマネ
ジメントが続いていたのは、創業時代のマネジメントを体現
していた多くの経営幹部たちによってなされていたように思
えます。実に、不思議な経営体なのです。
このことから中小企業ほど独自性ある経営ができると、仮説
を立てていますが、なんといっても創業者の個性(=独自性)
そのままが経営にみなぎっているからでしょう。やはり、こ
こでも人に行きついてしまいますが、それでも中小企業の創
業経営者ほど、現実を変える力をもっていると、この事実か
ら、私は、そう信じています。また、経験したある企業の経
営者のその後の活躍から確信に変わってきています。