日本経済新聞社は、2023年の賃金動向調査で、定期昇給とベ
ースアップ(ベア)を合わせた平均賃上げ率は前年比1.54ポ
イント高い3.89%だった。31年ぶりの高水準で、ベア要求が
あった企業の実施率は9割に迫った。人手不足や物価高に対
応する形で賃上げが広がったが、欧米企業の水準にはなお追
いつかない。低迷する生産性を上げ、消費につながる好循環
を生み出せるかが焦点だ、と報道されています。
日本における問題は、春闘などを利用した賃金の横並び政策
を官民でおこなうことでしょうか。企業の経営状態は、各社
ごとに大きな違いがあります。大手企業とて同じですが、中
小企業ともなれば、その差は格段な違いとなるでしょう。私
個人は、企業業績に応じた賃上げをおこなえばよいと考えて
います。もちろん賃上げできない企業がでてくることも致し
方ないことです。今春闘の結果からも同じようなことは起き
てしまうでしょう。それでも企業の支払能力に応じた賃金体
系にすることが重要ではないでしょうか。
資本主義は、そもそも格差がつく制度です。それを政策的に
ならそうというところに無理があります。日本の大手企業の
多くも横並び政策を踏襲するがゆえにグローバルな世界で戦
う能力を喪失しているようなものでしょう。賃金水準からみ
て、わが国の経団連、連合、官の護送船団方式が破綻してい
ることは、多くの国民が気づいているところではないでしょ
うか。すべてが中途半端なのです。国内の賃上げの雰囲気を
政治的に醸成するようやり方では、これから先もわが国の凋
落が続くのではないでしょうか。