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労働基準法

就業規則に関する企業間の対応差異

就業規則は、労働契約と同じ効力がある、と昨日書きました
が、大手企業と中小企業では就業規則に関する対応に、私が
経験した範囲ですが、大きな違いがありました。大手企業の
場合、就業規則が労働契約だと理解していますから、入社手
続きにおいて、すべての入社者に対して就業規則の説明をお
こなっていました。当然、就業規則は労働契約だという説明
があり、入社者一人一人に就業規則を渡しています。労働契
約としての手順を踏んだやり方でしょう。ただし、労働基準
法では、社員一人一人に就業規則を渡す必要はありません。
労働基準法第106条では、就業規則は各作業所の見やすい場
所への掲示、備え付け、書面の交付などによって労働者に周
知しなければならないとされているだけです。

もっとも、私の時代でも株式公開を目指していた企業では、
サイト内に就業規則を掲示して社員全員がいつでもみれるよ
うにしていました。給与明細もPDF化し、原則毎月25日午
前10時までに社員が確認、あるいはプリントアウトできる
システムにしていました。現在では多くの企業が、このよう
な社内ネットワーク体制の中で就業規則などの明示がなされ
ていると思います。

中小企業の場合、就業規則を作成していないばかりか、作成
している企業においても就業規則を掲示、備え付けをおこな
ておらず、就業規則は経営者の引出しの中といったこともあ
りました。中小企業ほど、先ず就業規則を社員一人一人に交
付しておくことでしょうか。理由は、基本中の基本ですが、
民事上のリスクを回避するためです。

就業規則の作成義務は、事業所ごとに従業員を10名を超え
て雇用している企業となっていますが、この条件は、あくま
で刑事罰における要件です。通常は、社員を一人でも雇用す
すれば、民事上の権利義務関係は、従業員個人と企業の間に
発生します。当然、労働契約としての就業規則が必要になり
ます。もっとも、個別に労働契約書を取り交わしておけば、
問題はありませんが、それでも労働基準法に違反している箇
所は無効です。労働基準法とは、労働条件に関する最低基準
を定めているものであり違法な条件は無効となるからです。

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