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経営

企業の統制は誰がやるか

現在、内部統制コーポレートガバナンスなど多くの言葉が
飛び交っていますが、いったい企業は誰が統制するのでしょ
うか。株主から委任された経営者以外にありません。
日本では1990年代に企業の不祥事や経営悪化が続発したこと
により、従来型の取締役を監査役が監視するという仕組みに
加え、新たに「委員会設置会社」という米国型の統治形態も
導入されました。また、金融商品取引法では、有価証券報告
書において「コーポレート・ガバナンスの状況」の記載が義
務づけられており、会社の機関の内容、内部統制システムの
整備状況、リスク管理体制の整備の状況、役員報酬の内容、
監査報酬の内容などの統制環境にかかわる内容の開示が要請
されています。

さて、これだけで問題は解決するのでしょうか。現状は、ほ
とんど機能していないようです。理由は、形式的な対応、あ
るいは横並びの対応は得意ですが、自らの企業の問題を把握
するような機能をつくる意思がありません。理由は、コスト
がかかるうえ、経営者のくびが飛ぶような仕組みを作る気が
ないと思われます。それでも企業は運営できるからです。

内部統制でよく出てくるのが内部統制報告制度(J-SOX)で
すが、これひとつだけで問題の解決はできません。上場企業
は「財務報告に係る」内部統制を自らチェックし、更に外部
の監査法人による監査を受ける義務があり、この仕組みを
J-SOXと言います。注意すべきことは、J-SOXはあくまで
財務報告に係る内部統制だけに焦点を当てており、例えば品
質検査の改ざん防止の内部統制は、内部統制ではあってもJ-
SOXの対象ではありません。あくまでもJ-SOXは財務報告で
あり、決算情報につながる部分の内部統制だけが対象です。
いわば内部統制の一部分にすぎません。

いつもソニーのことを出して申し訳ありませんが、ソニーで
は、この辺のことがよく理解され、実に実効性が高い内部監
査をおこなっています。いわゆる業務監査(毎年抜き打ち)
と会計監査(当時、3年に一度)を実施します。日本企業の
問題点は、ルールや規制依存主義、または、形式主義で体裁
を整えることです。
本当に経営を監視するのであれば、社内で人材を育成し、企
業が統一した業務と会計の監査運営体制を構築しなければな
りません。それだけでも時間とお金がかかることになります。
私がみてきた限りですが、他社でこのような仕組みを採用し
ているところをみたことがありません。
だからでしょうか。上場企業において監査法人の変更が増加
している原因の裏側には、自社における内部監査体制の機能
がない、あるいは機能していない企業がいかに多いかとうこ
とかもわかりません。

国や東証などが法律などで規制しても、実際は自社において
日常的に経営実態を把握し、問題があれば、適宜業務や会計
処理を修正させなければなりません。先ず、自社における統
制体制があり、次に会計監査人や社外取締役が企業の統制の
一部をチェックすることになります。主体は、あくまで企業
です。これを勘違いしている経営者がいるようです。会計監
査人が監査すればそれで終わりなどと。内部監査は、経営者
が自社の責任において統制を担うための仕組みを作り、毎年
確実に内部監査を実行させていくという自覚がなければ企業
のまっとうな統制などできません。
私が学んだ内部統制(実効性が高い内部監査体制)はソニー
だけですが、私のレベルでもこれくらいのことは書けるよう
になるのです。企業というところは、企業も勿論成長します
が、それ以上に人を成長させる力があるのです。

【参考】

資料:エヌエスアカウントスタッフ
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