日本の会計では、必ず経常利益という項目がでてきますが、
IFRSや米国会計基準には、経常利益という概念は存在しませ
ん。日本では資金調達において長く銀行からの借入でおこな
われていたことが前提にあるようです。株式を発行して資本
市場から本格的に資金調達するようになったのは、2000
年代からでしょうか。大企業が現在でも新株発行をおこない
資金調達するのは少ないものです。
このような状況ですから、無借金経営をしている企業を除け
ば多くの企業は、銀行借入をおこなうことで資金を調達しま
す。そうなると、当然ですが、銀行に対する利息の支払いが
発生します。利益をみるためには、一般販売管理費とともに
支払利息を差し引いて利益をみることが重要になります。日
本ではこのような理由から経常利益を重視してきたといった
ところでしょう。
では、IFRSではなぜ経常利益がないのでしょうか。答えは、
簡単です。IFRSでは特別利益、特別損失の区分記載を禁止し
ているからです。IFRSは原則主義ですから、細かな規則を置
くのではなく、各企業が責任をもって対応するということの
ようです。日本人からするとかなり違和感があるところかも
わかりません。経営とは、どの国においても、所詮人間がや
ることですから、問題は必ず発生するでしょう。IFRSは、で
きるだけ共通したルールの中でわかりやすく、簡単に財務内
容を把握できるようにしただけであり、問題が発生しないわ
けではありません。グローバル経営の中で共通指標として各
企業が利用するにすぎません。経営の責任は、なんといって
も常に経営者にあるものです。それは、いつの時代、どの制
度でも同じではないでしょうか。