大手企業にとっては、次から次へといろいろな義務化が続く
現在ですが、人的資本開示の義務化も、そのひとつです。
2023年3月期決算以降、有価証券報告書に人材への投資額や
従業員満足度などの人的資本に関する情報を記載して、ステ
ークホルダーへの公開を義務づけることです。大手企業400
0社を対象として義務化されています。対象企業は人材育成
方針や男女間賃金格差などの情報を記載した有価証券報告書
を提出しなければなりません。不提出の場合、懲役刑あるい
は罰金刑を受けることになります。
これまで企業は、人を人的資源としてコストとして捉え効率
的に消費しようという考え方だったように思われます。従来
は、人材にかけるコストを抑えつつ、仕事をさせるような考
え方でしたが、近年、人材にかける費用は「コスト」ではな
く「投資」であり、投資することで人材の能力を最大限活か
せるという考え方です。もっとも、私に言わせれば、従来で
も人が企業活動の源泉であり、人を大切に(決して甘やかす
という意味ではありません)している企業は多数あり、それ
らの企業は、人に多くを投資しています。今さら感がないで
はありませんが。。。
実際は、継続的に好業績をあげている企業は、人的資本経営
をしているといった現実に直面し、人的資本やビジネスモデ
ル等の無形資産が企業競争優位の源泉であり、企業価値向上
を高めるという認識が投資家に広まったことから、各企業の
人的資本の情報開示を要求されるようになってきた、という
ことではないでしょうか。
人的資本の情報開示が望ましいとされる7分野19項目があるよ
うです。