銀行に融資の相談をして断られることがあります。中小企業
の経営者はいろいろな策を講じることが上手なのかもわかり
ませんが、それが命とりになることがあります。
たとえば、機械を購入するために1,000万円の設備資金の融
資を申し込み、審査が通り、1,000万円の融資を受けること
ができましたが、購入先から100万円の値引きがあり、支払
額が900万円となりました。その値引き分100万円を運転資
金にまわした場合、資金使途違反とみられます。中小企業の
経営者は怖いもの知らずで、他にもいろいろな方法で融資の
資金を申請時の内容と違った使い方をするようです。他方、
銀行は融資した資金の使い道が、申請理由通りになっている
か、と神経をとがらせています。
資金使途違反とは、銀行へ融資を申し込む際に伝えた資金使
途を守らず、融資で得た資金を別の使途に使うことです。
資金使途違反とみなされると、資金使途違反した融資の一括
返済を銀行から要求されたり、その後、資金使途違反した銀
行から融資を受けられなくなったりします。また、資金使途
違反した融資が保証付融資の場合、信用保証協会のなかで資
金使途違反した会社として記録され、以後、どの銀行で保証
付融資を申し込んでも信用保証協会で保証の審査が通らず、
保証付融資を受けられなくなってしまいます。 資金使途違反
は運転資金でも設備資金でもありえますが、特に多いのは設
備資金として融資を受けた場合だ、と言われています。
資金使途違反とみなされたら、その融資を全額返すか、誤解
を解くよう銀行や信用保証協会に釈明することが必要になり
ます。資金使途を安易に変えてはいけませんし、融資額が余
るような場合には、事前に融資をしてもらった銀行と相談を
して、銀行の指示に従って融資金額の変更をおこなっておく
ことです。誤って、前述したように設備資金を運転資金に流
用したときは、事後でも銀行に自己申告しておくことが大切
です。なにごとも真摯な姿勢で対応することが事業を継続し
てく前提となるでしょう。