中小企業では月次決算をおこなっているところは少ないです。
理由は、月次決算よりも毎日の営業活動に明け暮れているか
らです。大枠で売上を把握すれば、それでだいたい終わりで
しょうか。半年先、まして1年先のことを考えて企業活動し
ているところは、私が経験した狭い範囲ですが、ありません
でした。
このような状態ですから毎月の試算表がでてくるのは、翌々
月だったりします。経理事務担当者がいてもこのような状況
ですから、経理担当がいない場合や記帳代行に出していれば、
さらに試算表は遅くなるのではないでしょうか。毎月の帳票
(請求書、領収書など)が、各企業から記帳代行業者へ送ら
れてくるまでに時間がかかり、記帳代行業者は、それから帳
票の記帳をおこないます。当然、帳票が遅くなればなるほど、
毎月の試算表の作成は遅れることになります。
なぜ、試算表を作成するか、ということですが、年1回作成
される決算書では前期の業績や財務内容はわかりますが、今
期の業績や財務内容は、試算表でなくてはわからないからで
す。また、銀行は、前期の決算から3か月経て、融資を希望
すれば試算表を要求されるでしょう。
もっとも、銀行に提出するためではなく、経営者が自分がお
こなう企業活動を数字で確認しておくことが重要だからです。
毎月、儲かっているのか、経費はどうか、人件費はどうか、
その他数字から見える問題はないか、とチェックすることが
次の事業活動の改善や展開には必須だからです。
試算表を出していない経営者は、これらのチェック項目を頭
の中でおこなっているようですが、事業が拡大してくれば誤
差や誤謬が発生します。毎月の試算表を出すことで経営者の
勘ばかりに頼った経営から数値データをいれた判断へ切り替
えていくことができるようになります。これができる経営者
は成長し、事業を拡大していくことが可能となります。
はやく試算表を出してくれ、といっている経営者ほど、事業
に真剣に向き合っているものです。
私が年間一括の記帳代行をおこなわない理由は、厳しいです
が、このような記帳を求めてくる経営者には将来がない、と
思うからです。むしろ、費用は高くても、翌月15日までに
試算表を出してくれ、というような経営者ほど、経営を真摯
に考え、好業績を叩き出しています。