保守主義の原則とは、企業の財政に不利な影響を及ぼす可能
性がある場合、これに対応するため適切に健全な会計処理を
しなければならない、という原則です。
適切に健全な会計処理とは、損益計算書においては、収益は
できるだけ遅く、金額は少なく、費用はできるだけ早く、金
額は多く計上する。貸借対照表においては、資産はできるだ
け少なく、負債はできるだけ多く計上するということです。
常にそのようにしなさい、と言っているわけではありません
が、あくまで、企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性があ
る場合がポイントでしょうか。
たとえば、貸し倒れの可能性が非常に高い売掛金は、多めの
貸倒引当金や貸倒損失を計上する必要があります。企業にお
こるであろう不利益を、早めに利害関係者に示すためです。
しかし、いつでも保守主義の原則が認められるわけではあり
ません。不利益の見積りなどが度を超えると、利益操作につ
ながりかねませんから注意が必要です。
保守主義は、なにも会計だけに限りません。経営全般に必要
なことではないでしょうか。経営者があまりに楽天的な経営
をおこなえば経営活動において危機的な状況に陥ります。な
にごとに関しても、自社に厳しい視点で物事を判断(保守的)
している経営者がいる企業は、問題を未然に防ぎ、安定した
経営を継続的におこなえるものです。
このような経営者がいる企業は、私が在籍していた当時は、
社員数が200名ほどの規模でしたが、現在では10,000
名弱の規模に成長しています。なかなか保守的(堅実)な一
面をもつ経営ですが、経営スタイルは大胆でしょうか。こん
なところに企業を成長させる原動力があるのかもわかりませ
ん。