経理の仕事をはじめたころ、わからないことばかりでしたが、
そのひとつが発生主義だったでしょうか。発生主義とは、「
収益と費用は、収入と支出ではなく、その発生の事実に基づ
き計上する」というものです。ところが、一般の人にはそう
簡単に理解できません。
収入-支出=収支
収入はキャッシュイン、支出はキャッシュアウトです。
会計上は、このお金をもらったときに売上を計上するわけで
もなく、お金を支払ったときに費用に計上するわけでもあり
ません。なんだか、なぞなぞのような話ですが。。。
では、何に基づいて計上するか、といえば、事実の発生です。
事実とは、私がおこなっていた営業では、商品が倉庫から出
荷された時点で売上に計上されます。商品の出荷という経済
的事実です。このように事実に基づいて計上することを発生
主義といいます。
この点は、「売上をどのように認識してどのように会計処理
するのか」を定めた収益認識基準になりますが、売上高に関
する会計処理の基準が新しくなり、2022年3月に決算を迎え
る会社、「大会社」と「上場(予定)企業」が最初に該当す
ることとなりました。
収益は、発生主義でなく「実現主義」で計上するというのが
企業会計のルールとなります。実現主義とは、一定の基準に
基づき販売の実現があったとき、売上が確定した時点で計上
する処理方法です。
実現主義については、もう少し説明がいるかもわかりません。
発生主義の反対が現金主義です。私たちの普段の活動は、現
金主義が大半でしょうから、発生主義にはどうしても違和感
をもつことになるようです。それでもサラリーマン生活を長
くやっていれば、自然と発生主義が身についていくものです。
経理から請求書(受取)や領収書に関して厳しく言われるか
らでしょうか。
とくに企業では、支払いはまとめておこないますし、請求も
月締めでおこなっていることが当たり前でしょう。企業経営
の根幹は、物事のやりとりがおこなわれた事実があったとき
が起点になるということです。その起点を証明するものが、
契約書であったり、請求書であったり、領収書であったりと
いろいろな書類、帳票類になるということです。