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経営

なぜ押し込み販売がやれていたのか

私が在籍していた企業では、月末押し込み販売が非常に多か
った、と思います。理由のひとつに、私が在籍していた企業
の商品が紙類であり、返品ができないものだったからです。
昨日書いた企業のように、その月の売上だけのために商品を
納品し、翌月、代理店から返品を受けるというやり方ができ
ませんでした。このことは、会計上の問題をクリアします。
出荷基準で売上を計上できるからです。それでも経営上の別
な問題を発生させることになります。利益率が低い経営です。
だからこそ、現在は、在籍していた企業と競合他社が合併し
ています。単独で生き残るのはむずかしかった、と思われま
す。

毎月売上を計上し、翌月返品を繰り返すという販売方法には、
問題があります。先ず、事業年度末に押し込み販売をして翌
月返品してもらうと、粉飾決算の可能性がでてきます。実際、
その後、この企業は粉飾決算が発覚し倒産しました。
売上計上基準と販売部門における売上計上の齟齬を内部監査
部門は、どのように把握していたのでしょうか。結論からす
れば、内部統制や内部けん制が、いずれも機能していなかっ
たのです。
このような販売は、納品時、返品時の運送代や入出庫料など
相応の経費がかかっているものです。このような販売が、い
つまでも継続されるわけがありません。私が知る営業担当者
の責任ではないでしょう。組織全体がこのような体質になっ
ていた想像されます。
経営機能がない企業では、人々の体質(経営者の体質)で経
営がおこなわれます。経営機能をいかにつくるかが、経営者
の仕事の大事なひとつですが、自らも良い成績を見続けたい
という欲望に負けてしまい経営機能は喪失していくものです。

売上計上の認識は企業経営では大変重要なポイントです。こ
の点で、売上至上主義のわが国企業では、多くの問題を起こ
してきましたし、現在でも上場間もない企業などでは架空売
上や粉飾などの問題が続いています。企業は、なんといって
も売上からはじまりますから、切羽詰まると、会計基準を無
視するようになります。一度、手を染めると抜け出せません。
現在では手口も大胆になっているようです。経営者の強硬姿
勢から従業員や監査法人の担当者まで巻き込んで粉飾がおこ
なわれているケースもあるようです。このような経営者にな
らないためには、日ごろから勉強し、窮地に立っても堂々と
経営できる資質を磨く以外にないでしょう。

経営は、常にDo it right the first timeでなければなりません。

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