わが家の散歩コースのひとつのなかに盛田さんの家がありま
した。いつごろかは忘れましたが、盛田邸は取り壊されて、
なにやら基礎工事がはじまっていた時期に散歩した記憶が残
っています。その後、私は散歩した記憶がないようなのです
が、妻は、犬の散歩がてらに写真をとっていました。先ほど
見たのですが、ずぶん高い壁(塀)ができています。
ここが今話題になっている経営者の自宅だと聞いて、さらに
驚きました。私が在籍していたソニー子会社の社員たちは、
盛田邸への工事のために、しばしば出入りしていましたが、
私は盛田邸を散歩の途中でながめているくらいだったでしょ
うか。
私にも思い出の地ですが、更地になったときや、基礎工がお
こなわれているときは、一抹の寂しさがありましたが、これ
も時の流れか、と思わずにはおれませんでした。
秋になり、涼しくなって気候がよくなれば、また散歩に出か
けることになるのでしょうが、経営マネジメントについて書
いている私には、ここが話題の経営者の自宅だ、とは衝撃的
でした。この地は、経営者が多く住んでいるようですが、表
札を掲げることもなく、異様なつくりの豪邸が増えたように
感じます。タワーマンションですら驚きですが、世間と隔離
した豪邸をみていると、非日常的な風景だけがこの地に残っ
ていくようで気がかりです。
中小企業の経営者がよいと思えるのは、とにかく人柄でしょ
うか。私は必死になって働いている中小企業の有能な経営者
の将来を支えていく仕事は、本当に楽しかったように思えま
す。もっとも、私自身はたいしたことはできませんでしたが、
むしろ学ばせてもらったことのほうが多かったでしょう。
話題の経営者も必死になって汗水たらして働いていた時代が、
きっとあったと思います。そうでなければ、一代で売上高が
約7,000億円の企業になることはないでしょう。どこで道を
間違えられたのでしょうか。そうならないために経営の原理
原則が必要なのです。