企業活動は、日々、多くの問題が発生するものです。その問
題に対していかに行動できるかがカギになります。成長して
いる企業の経営者は、どのような問題にも直ちに行動を起こ
します。問題は、一見すると小さくみえるものもありますが、
その本質は見届けるまで判断することがむずかしいものです。
とくに企業規模が大きくなればなるほど、また、経営機能が
未熟なところほど、問題の本質を判断することは困難です。
理由は、多くの人たち(社員)が介在すること、あるいは経
営者の強烈な個性があるために問題をみえにくくしてくるか
らです。しかも、その問題が業績や自分の給与、昇格などに
直接影響するようになればなるほど、社員は問題を隠そうと
するものだからです。
優れた創業経営者は、このようなケースに対して自ら問題に
ぶつかっていきます。また、自分の参謀を側において現場、
現物、現実を掌握します。それも徹底しています。だからこ
そ、はやい段階で問題を解決し、正常な経営へ戻していくこ
とを可能とます。
むずかしいことではありません。当たり前のことを当たり前
にやっているだけです。問題を常に自分に引き寄せ、自分の
五感をフルに活用しながら判断し、正常な経営へ戻すために
自分で行動します。他力本願がありません。
問題を放置している社員がいれば厳しい姿勢で臨みます。問
題の放置が自社の経営をゆるがすことを熟知しているからで
す。このような経営者は、周知を集めて問題解決にあたりま
すが、その責任は、必ず自らがとる決意をもって行動してい
ます。
行動には、積極的な行動と消極的な行動があります。昨日の
記者会見でわかったことは、まさに消極的な行動です。積極
的な行動というものは、日々の仕事の中にしかありません。
辞任という行動は、とらされている行動であり、自らの意思
が希薄なものではないでしょうか。今の時点で企業を救うの
は(救えるかどうかわかりませんが)、自らの辞任しかなか
ったという行動です。
記者会見からみる人柄は、中小企業のおやじそのものです。
私は、このようなおやじタイプが嫌いではありませんが、経
営規模を拡大できるタイプではなかったように思えました。
案外、このようなタイプの経営者は多いと思います。勿論、
私のレベルは経営者ではありませんから、たいしたことは言
えませんが、経営規模を拡大できるタイプの方とは多くの点
で違いがあることだけはわかります。
この方は、おそらく従業員から慕われていた時代があったの
だ、と想像されます。企業が大きく成長できたのもこの人柄
なら、企業を追いこんだのも自らが経営者として大きく変わ
れなかったという人柄だ、と思われます。
経営者の人間という存在は、経営が悪い結果を招いたときに
如実に表れてくるものではないでしょうか。
この企業はどのようになっていくのでしょうか。人材は残っ
ているようですが、経営体制が大幅に変化することで、その
振れ幅に社員と経営陣がついていけるかどうかが、この企業
の明暗をわけるのかもわかりません。