ある企業に在籍していたときに聞いた話ですが、銀行の担当
者が社長個人の資産を聞くことがあるようです。銀行の融資
では社長個人が連帯保証人になることが多いようですが、社
長の保証能力をみるために聞くとのことでした。なぜ、社長
個人を連帯保証人にするのか、という理由があります。
ひとつは、社長へのけん制です。銀行への融資の返済ができ
なくなっても社長個人の資産がなければ銀行への返済をまじ
めに考えないケースが発生するからです。あるいは、返済で
きるうちに会社の資産を個人に移しておこうとするなど、モ
ラルハザードを起こすのを防ぐためです。
二つ目は、融資を受ける会社の信用力を補完するためです。
社長個人に資産があれば、将来返済ができなくなった場合に
社長個人の資産から返済を期待しているからです。
三つ目は、財務諸表の信頼性を担保させるためです。融資を
するために提出する財務諸表は正しい前提で融資の審査をお
こないますが、粉飾などで財務諸表に問題があるかどうかま
では簡単にみつけることができません。そのため連帯保証人
として信頼性を確保しようとしています。もっとも、社長個
人は、自分の資産を会社へつぎ込んでいることも多く、本当
の意味で保証されているかどうかわからないものです。
私が聞きかじった話の範囲ですが、このようなことから社長
個人の資産がないからといって融資が通らないということは
ないようです。