伸びる創業企業の経営者は決裁がはやい。どこで決裁してい
るのかと思うくらいです。夕方提出した稟議書に午前2時に
決裁するし、海外出張時にどこにいるのかわかりませんが、
すぐに決裁します。どれをとってもソニー子会社時代よりも
はやく決裁しておられました。はやく決裁すためには、仕組
みが必要です。この点でも非常に柔軟性があり迅速です。
企業が拡大するときには、必ず仕組みが必要になります。そ
のときの考え方が大事です。多くの経営者や従業員をみてき
ましたが、だいたい今までおこなわれてきたやり方を踏襲し
ます。理由は、簡単です。これまでのやり方で物事を進める
ほうが、もっともわかりやすく、やりやすいからです。
ところが企業というところは、規模が拡大すれば従来のやり
方ではうまくいかなくなることが多くなります。社員数が多
くなることや取引量が拡大するのが一番の理由ですが、規模
の拡大に対応させるためには、新たな仕組み、あるいはシス
テムの導入がかかせません。そこで、また問題が発生します。
従来のやり方に固執する企業(経営者、従業員)は、システ
ムを導入する際、従来のやり方を前提にシステムのカスタマ
イズを要求します。
これが一番の問題です。従来のやり方=ベスト思考でしょう
か。システムを導入しても、というよりは、システム導入そ
のものが失敗します。この点、優れた経営者は、わが社が導
入するシステムに合わせていこう、いとも簡単にと言えます。
従来のやり方にとらわれないのです。優秀なシステムほどカ
スタマイズが必要ありません。まったくとはいいませんが、
カスタマイズしないほうがシステムの本来的機能を発揮しま
す。企業を成長させていく創業経営者には、このことが理解で
きています。
このような考え方をもつ経営者の企業は、システム導入がは
やく、導入すればすぐに各機能を使いこなします。私が在籍
していた企業の創業経営者は、稟議システム導入と同時に活
用し、瞬く間に稟議書類の決裁が終了していました。この点
では、ソニー子会社時代よりはやく、事業の進捗を格段には
やめていました。だからこそ、当時200名規模から現在1
0,000名弱の規模に企業が成長できるのです。
ERPシステムなども企業の拡大ステージに応じた新規導入
やシステムの改善が求められます。システムを使う意味が理
解できていないと、このようなタイミングですばやく対応が
できません。これができる経営者は、自らが成長させていく
企業のイメージをもつと同時に、それをうまく機能させてい
くためのシステム全般に関する概念を理解しているのです。
別な言葉で言い表せば、学ぶ力が尋常ではありません。私た
ちが頑張ってだす提案やアドバイスに対しても理解を示し、
しかも、それ以上の効果がある新たな提案をだしてきます。
それだけに限らず経営全般にわたり優れた能力を発揮します。