多くの企業が株式上場を目指しますが、どれくらいの企業が
順調に業績を伸ばしているのでしょうか。私がロールモデル
とする企業に大塚商会(株)があります。もともと事務機器
を販売する企業として1961年にスタートした会社です。
私が知ったのは企業へ入社してからだと思いますが、私が知
った時代の大塚商会は、かなりやんちゃな時代だったように
記憶します。ちょっと失礼ですが、今でいうブラックでしょ
うか。まぁ、がむしゃらなときは、どの企業にもあるようで
す。私などは、タイミングよく、やんちゃな時代を抜け出し
たときにその手の企業へ入社していますから、やんちゃ時代
の仕事のやり方を知りません。販売力がある企業には、この
手のやんちゃ企業が結構あるようですが、そこから抜け出し
て株式上場できるかどうかは、経営者のかじ取りによります。
また、だいたいやんちゃな企業のままで終わることも多いの
ではないでしょうか。
大塚商会の上場は2000年7月ですから、創業から39年
ほどがたっています。しかも、一部上場ですから相当ハード
ルが高いものだったと思われます。この企業のすごいところ
は、内部統制などのシステムを自社開発しながら社内で運用
実績を積み上げて社内体制を構築していることです。その上、
そのシステムを社外に販売するということをやっています。
私は、ある企業に在籍していたときに大塚商会が販売するス
マイルというERPシステムを導入しましたが、中堅企業には
導入費用と同時にシステム自体の運用のしやすさがありまし
た。また、ワークフローでは、前述したように大塚商会の社
内で使用しながら磨きをかけられたシステムですから、よく
考えらえたものでした。
今では、システムインテグレーターとして多くの企業をサポ
ートしています。この企業の株式公開ステージは、東証1部
への大型上場を目標にしていたのでしょう。そのためのステ
ージを時間をかけて進めてきていたようです。このように社
内体制の構築を確実に実行しながら、長いスパンで経営のか
じ取りをおこなっていくことが、創業系の企業では大切では
ないでしょうか。
上場市場をプライムに定めれば、やるべきことが明確になり
ます。ハードルが高ければ、それだけ時間がかかるものです。
大塚商会(株)は、メーカーではありませんから、売上高や
利益を確保するために、日々の仕事を着実やっていくことが
求められるでしょう。その結果は、上場時の売上高3,000
億円ほどでしたが、2022年度8,000億円を超えるまで
に成長しています。
理想的な株式上場への挑戦だと思います。このようなに上場
の前段階でどこまで上場に耐えられる企業づくりができるか
が、本来、勝負なのです。このような企業から株式上場のた
めの各ステージを学びながら、株式公開へ挑戦していく企業
が増えていくことを私は願っています。このような上場のプ
ロセス踏むことが、たとえグロースであっても、あるべき上
場の姿ではないでしょうか。