企業における現金の取扱いは、大手企業では小口現金くらい
でしょうか。めったに多額の現金を扱うことはありません。
中小企業でもきちんと現金出納帳をつけている企業では小口
現金と現金で支払わなければない取引などがあります。もっ
とも、大手企業、中小企業でも日々消耗品などを購入するた
めの小口現金が中心でしょうか。それも今では随分少なくな
っていると思います。社員が立替た費用などの小口精算はシ
ステムを活用して、社員個人の口座に直接振込ことが多くな
ってきました。海外出張でもコーポレートカードを利用しま
すし、国内出張でも同様です。企業では現金の利用そのもの
が、私が在籍していた時代と比べるとかなり減っていると思
います。
他方、中小企業のなかには、現金の残高がやたら多額になっ
ている企業があります。それでも期末に現金残高が金庫など
に入っていればよいのですが、問題は、中小企業では経営者
が現金を引き出すことが多く、ここに問題が発生します。し
かも、現金出納帳もなく管理がされていない。期末に、いわ
ゆる決算日に試算表には、500万円の残高があるのに実査で
はわずかな金額しかないといったケースが考えられます。
大手企業などでは、キャッシュカードも金庫に保管されてい
たり、キャッシュカードそのものを使いません。小切手を振
出して現金化したりしてました。とにかく問題が発生しない
ような方法で対応していることが多かったと思います。
決算日における現金残高が帳簿残と大きく違う場合、経営者
個人の現金と会社の現金が混ざった状態になっていると思わ
れます。これらは、銀行からみれば粉飾決算を疑われること
になったり、税務調査時には経営者個人の賞与として課税さ
れたりすることがあります。小さな会社のうちから現金の取
扱いには慎重さが求められます。
身近でみていても、現金の取り扱がしっかりとできている会
社は着実に成長していくものです。当然、現金以外の取引も
きちんとされています。基本ができてこそ、企業は成長して
いくというお手本をみさせてもらっているようなものでしょ
うか。