花王は3日、2023年12月期連結決算(国際会計基準)
の業績予想を下方修正し、最終利益を5月時点より470億
円少ない410億円とし、国内工場の生産体制の見直しや商
品の統廃合といった構造改革の費用として600億円を計上
する、と発表しました。
花王は、私が営業時代からベンチマークしていた企業です。
しばらくニュースを目にしていませんでしたが、わが家の日
常の買い物行動からも大丈夫か、と心配していたところでし
た。わが家をみるだけでP&G、ユニリーバ、ライオンが席巻
しています。花王製品ではバスとトイレの掃除用品くらいで
しょうか。
2023年度のもうけを示す営業利益の予想も600億円少
ない600億円に引き下げ、売上高は1兆5800億円の予
想を据え置きましたが、課題が山積しているようです。
花王の課題は簡単です。海外売上をどのように伸ばしていく
だけでしょう。この課題は、十年以上前から言われていまし
たから花王経営陣の怠慢と言われても仕方がないのではない
でしょうか。花王のライバルP&Gの売上高は約11兆円あり、
海外売上比率は約7兆円ほどあります。P&Gは1970年代に合
弁で日本進出を果たし、06年にP&Gジャパンとなっています。
「世界のP&G」が進出した主要国のうちシェア1位を取れな
い数少ない市場が日本です。その要因は、強力な競合相手で
ある花王の存在だったようです。現在の国内シェアは、衣料
用洗剤ではきっ抗しているようです。
売上規模が違いますが、1970年代にわが国に進出したP
&Gとてすんなりと市場を獲得できたわけではありません。
花王にP&Gのような海外へ挑戦するというチェレンジ精神が
ないと考えています。国内ではナンバーワンでも、世界を相
手に戦っていないのです。このような経営は、経営陣にはよ
くても、徐々に社員のなかに挑戦しない精神がまん延し、日
々の事業活動に現れてくるものです。トップが果敢に挑戦し
てこそ、企業精神はたくましくなっていきます。花王には、
他社で海外経験豊富な経営職はいるのでしょうか。このまま
挑戦しなければ、国内の経営環境に引きずられて国内売上も
じり貧となり、海外挑戦するチャンスさえ失うのではないで
しょうか。花王の未来は、ソニーのように海外に挑戦してい
くことで開かれていくのではないか、と私は考えています。
すばらしい企業だけに、今からでも本格的に海外への挑戦を
してほしいものです。