経理 記帳代行ならエヌエスアカウトスタッフ

経営マネジメント

なぜ自由な会話が生まれるのか

私たちを取り巻く環境は、会社に限らず人との関係性ででき
ているといっても過言ではないでしょう。言語学では、人は
言葉遣いを微妙に変えながら相手との距離を調整している、
と言われています。敬語や敬称には、相手との距離を遠くす
る効果 (遠隔化効果) があり、このことによって「近づき
がたい」という印象を生じさせているようです。相手の地位
が高い (自分の地位が低い )ほど、より強い遠隔化効果を
もつ言葉を使わなければならないのではないでしょうか。

企業内にもこのような言葉を使い分けることで、組織内の地
位や権限、あるいは権力といったことをうまく機能させてい
ると想像されます。だからこそ、硬直的な会話が必要なのか
もわかりません。常に、権力者が配下の人間を支配するとい
う構造です。

他方、ソニーのような会社では、たとえ仕事であって自由な
会話を楽しむことができます。理由のひとつは、権力者が支
配するという構造がゆるい、あるいは必要ないと考えている
からでしょう。ソニー子会社内で「さん」や「ちゃん」など
の呼称で会話するのは相手との距離を縮め、地位に対する絶
対性を弱めることになります。それだけオープンな話し合い
ができます。

ソニーでは、なぜこのような関係性を経営者と従業員の間で
築いていくことになったのでしょうか。私見ですが、経営者
がそもそも権威的でなかったこと、そしてベンチャー企業で
スタートしたことから、役職などの属性にかかわらず、社内
の全員が言語的に距離を同じにすることで、社員ひとりひと
りの能力を発揮することができると、井深さんや盛田さんは、
考えていたというよりは、そもそもお二人には体現されてい
たのではないか、と私は考えています。意図的にやったので
はなく、ベンチャー時代の苦難の中で創造的な仕事をするに
は、人と人とのオープンな関係性こそがすべてだったという
ことではないでしょうか。その意味では、自由な会話こそが、
ソニーらしさなのかもわかりません。
だからこそ、稀有な存在になれたのではないでしょうか。

news allread more

share this one