経理の仕事は、会計システムを利用しながら日々の計上をお
こなっていますから、とくに大手企業ほど標準化された仕事
になっているのではないでしょうか。他方、大手企業といえ
ども多くの確認作業が必要な会計上の課題があるものがあり
ます。そのひとつが、資本的支出と修繕費でしょうか。なか
なかやっかいなところがあります。実務では、上司に指摘を
受けることが多いところでしょう。
固定資産を保有していると、定期的なメンテナンスが必要に
なります。また、突発的な故障などによって修繕が必要とな
ることが少なくありません。この場合、メンテナンス費用に
関しては、法人税法上、一時の損金として処理できる場合と、
固定資産として計上しなければならない場合とがあります。
固定資産に計上する場合を資本的支出いいます。
実務では、資本的支出に該当するかどうかの判断が非常に難
しく、多くの経理担当者の頭を悩ませることになっています。
資産の使用可能期間を延長する効果がある支出や、資産の価
額を増加させる効果がある支出が、資本的支出であるとされ
ていますが、規定が抽象的で判断をむずかしくしています。
建物や機械設備の修繕にかかるコストは、巨額、高額となる
ことが多いものです。修繕費として損金として処理できるか、
資本的支出として何年もかけて減価償却費を計上するのでは、
毎年の法人税の金額が大きく異なってきます。そのためか、
税務調査でも必ずチェックされるところのようです。
このようなことを踏まえて、大手企業では専門的な知識があ
る社員を育成していますが、それでも監査法人との見解の相
違などがあったりと、経理担当者や現場責任者との間では多
くの葛藤があるものです。中小企業の場合は、規模や事業内
容にもよりますが、資本的支出の具体的な内容を把握しなが
ら、専門性を有する税理士さんや会計士さんと調整していく
ことが必要になる場合もあります。