中小企業でも外国人を雇用する機会は年々増加しています。
社会保険や雇用保険は、外国人も加入することができますが、
日本で就労できる要件を満たしていることが前提となります。
基本的には「就労が可能な在留資格を有していること」そし
て「日本に在留することができる在留期限を越えていないこ
と」が必要です。
在留資格 は、外国人が日本に入国・滞在するために必要とさ
れる資格で、外国人は必ず何らかの在留資格を持っていなけ
れば日本に在留することができません。そのため外国人を雇
い入れる場合は、はじめに在留資格と在留期限を必ず確認す
ことが必須です。在留資格と在留期限は、パスポートまたは
在留カードで確認します。在留カードは、在留資格の申請が
許可された日本に中長期間在留する外国人に交付されます。
氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在
留期間、就労の可否などが記載されています。
学生をアルバイトとして雇い入れるとき、留学などで「永住
者」や「定住者」以外の在留資格を持つ外国人は、原則とし
て在留資格に属さない収入を伴う活動をすることができませ
ん。そのため、在留資格に属さない活動で収入を伴う活動を
する場合には、あらかじめ入国管理局で「資格外活動許可」
という許可を受ける必要があります。資格外活動許可には、
週28時間以内の収入を伴う活動を行える「包括許可」と、具
体的な活動について許可を受ける「個別許可」の2種類があ
ります。短期滞在の在留資格を持つ外国人は、資格外活動許
可を受けることができないため、留学生をアルバイトとして
雇い入れるときは、資格外活動許可を受けているかを確認す
ることが必要です。
さらに、すべての事業主は「外国人雇用状況の届出」を外国
人の雇入れ及び離職の際に届け出る必要があります。届出を
怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金
の対象となります。ハローワークでは、「外国人雇用状況の
届出」に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主の方への
助言や指導、離職した外国人への再就職支援をこなっていま
す。
外国人の雇用には細かい規定がありますから、ハローワーク
や行政書士など専門的な知識をもった方に相談しながら進め
るのが最善です。不法就労は、働いている本人だけでなく、
雇用した事業主も罪に問われます。 それが「不法就労助長罪」
です。 不法就労助長罪に問われた事業主には、懲役3年以下
または罰金300万円以下の罰金が課されます。この罪は、わざ
と不法就労者を働かせただけた事業者だけでなく、「外国人
の雇用が初めてでルールの存在さえ知らなかった」、「確認
をつい忘れていて不法就労になってしまったが、悪気はなか
った」という悪意のない事業者に対しても適用されます。外
国人を雇うのであれば、不法就労助長罪には十分に注意しな
ければなりません。
私が経験した範囲ですが、外国人は強引な人もいますから、
雇用できない理由を明確に説明しなければなりません。また、
雇用が可能なようであれば「資格外活動許可」を取得しても
らうように指導します。採用自体は、あくまで「資格外活動
許可」を取得できたことが条件となります。当然ですが、そ
のうえで筆記や面接試験を実施して採用可否を決定すること
になります。