個人事業主に限らず法人でも事業というものは、好調な
ときばかりではありません。不測の事態は、経営活動に
はつきものでしょう。事業が好調であれば、原則受取消
費税が多くなりますから、必ず消費税の納付が必要にな
りますが、片や事業がうまくいかず不調な場合、売上よ
りも経費のほうが多くなることがあります。また、多額
の設備投資や大掛かりな修繕工事などをおこなう、ある
いは、輸出取引が急激に増加したようなときには、受け
取った消費税よりも支払った消費税のほうが多くなりま
す。
消費税は受け取った消費税から支払った消費税を差し引
き(仕入税額控除)、差額を納税しますので、支払った
消費税が多かった場合、消費税の確定申告をすることで
消費税の還付を受けることができます。ただし、消費税
の還付を受けられる事業者は、仕入税額控除による原則
的な計算方法で消費税を納付する「一般課税」方式の事
業者が対象です。また、インボイス発行事者になった免
税事業者を対象に消費税額を軽減する「2割特例」の適
用を受ける場合も、申告時に一般課税方式を選択すれば
消費税の還付を受けることができます。申告前に、どち
らが有利かを確認してください。他方、仕入税額控除の
額を簡易的に計算できる「簡易課税」制度を選択すると、
支払った消費税額の方が多くても 2年間は還付を受けら
れません。
いずれにしても消費税に限らず税に関することは、税理
士さんや会計士さんとよく相談しながら進めていくこと
が賢明だ、と思います。