インボイス制度は、経費を立替えた場合も少々やっかいです。
取引先が自社の経費を立替えていることがありますが、この
場合、インボイスが取引先宛に発行されていれば、消費税の
課税仕入業者である自社が仕入税額控除をする際、インボイ
スの要件を満たさないことになります。そこで取引先が作成
する立替金精算書などと取引先宛に発行されたインボイスの
コピーをもらうことで、立替えてもらった経費を自社の仕入
税額控除の対象とすることができます。従業員などが出張時
に立替えた経費についても、同様の対応が可能です。自社の
従業員の経費精算は、システム等でおこなう場合が多いでし
ょうから、比較的簡単に対応が可能だと思います。
やはり取引先が立替えた経費に関する処理は、取引先として
は立替金精算書などの書類を発行する手間がかかりますし、
システムを導入しても立替分のインボイスのコピーやあるい
はシステムからPDF化するなどの作業工数は増えると考えら
れます。
立替精算書などの具体的な様式は決められていないようです
が、立替えた事業者名、人の名前、精算書作成日、立替えた
先の事業者名、立替えた金額、取引内容、支払先、適用税率
と消費税額など取引先や自社が仕入税額控除するときに必要
な情報などが、立替えたインボイスとひもづけ可能な情報が
記載されていればよいでしょう。
最後に、3万円未満(消費税込み)の公共料金、自販機の飲
料の販売取引など、インボイス発行が困難な九の取引はイン
ボイスがなくとも記録を帳簿に保存するだけで仕入税額控除
が認められています。インボイスを添付する必要はありませ
ん。中小企業の場合は、税理士さんや会計士さんとよく相談
しながら進めてください。