花王とともに、営業時代気になっていた企業にユニ・チャー
ムがあります。私が営業職をスタートした時代、1978年ごろ
は、私が在籍していた企業同様、売上高が300億円前後だ
ったように記憶します。大変失礼ですが、まだ、四国からで
てきた田舎の企業といった雰囲気があったようで、製品の配
送などを自社の営業がおこなっていましたから、私は、驚き
の目でみていました。
その後、時代が移るにつれて私がいた企業とは、大きな格差
がでてきました。ユニ・チャームは、創業系の企業でしたか
ら、創業経営者である高原慶一朗氏の経営能力が高く、すぐ
れた経営マネジメントが機能してきていたと思います。しか
も、花王に負けないマーケティング力や製品開発力がある企
業に育てあげていました。
私が在籍していた企業の営業会議では、ユニ・チャームを格
下にみる管理職が多かったですが、私はなんとなく、この企
業は成長していくのではないか、とベンチマークしていまし
た。結論からすれば、ユニ・チャームははるかに優良企業へ
と成長していきます。花王やP&Gと死闘を重ねても、負ける
ことなく、今日に至っています。オーナー企業でしたが、製
品開発力とテレビCMへの投資でぐんぐんと市場を席捲して
いきました。その経営手腕は、実に、見事で徹底されていた
と思います。
ある時期から国内でテレビCMなどが少なくなったと感じて
いましたが、国内市場の縮小をいち早く察知することで、海
外展開をはじめていたようです。その後、私は、営業の仕事
から管理部門の仕事へかわったため、多くのデータに接して
いませんでしたが、最近、花王のことを調べているときに、
ユニ・チャームの現状を知ることになりました。
2001年から創業者高原慶一朗氏の後任として二代目の高原豪
久氏が代表取締役社長となり、グローバル化を積極的に進め
るなどして、売上、利益ともに大幅に伸ばしています。9月
時点における時価総額は、ユニ・チャームがおよそ3兆3500
億円、花王の約2兆5200億円を大きく引き離しています。10
年前からすると時価総額を3倍に増やしているユニ・チャー
ムに対して、花王は、2019年、時価総額約4兆3000億円を突
破して以降下降しています。やはり、大きな差がでているの
が海外展開でしょうか。花王の消費者向け事業の2022年度海
外売上高比率は約35%、ユニ・チャームは約66%になってい
るようです。また、ユニ・チャームの2022年度の営業利益が
約1200億円で花王は約1100億円です。ユニ・チャームの売上
高が約9000億円で花王が約1兆6000億円ですから2倍近く収
益力があるということになります。
久しぶりみた数字ですが、驚きました。事業展開と技術開発
が巧みなユニ・チャームだけあって海外展開を全世界まんべ
んなくおこなっています。日本の大企業は、ある時点で必ず
海外展開を進めていかなければならない宿命があります。こ
れから本格的に市場が縮小しますから、余裕があるうちに海
外売上比率を高めていかなければ、縮小均衡という負のスパ
イラルに陥るのではないでしょうか。その点で花王は、ギリ
ギリのタイミングにきているのかもわかりません。