銀行に融資を申し込んだとき「社長以外の連帯保証人をつけ
てください」と言われることは、今ではほとんどないようで
す。私たちの時代には、普通に聞く話だったような気がしま
す。過去には、経営に関係のない第三者を連帯保証人(第三
者保証人)とすることがよく行われていたようです。企業が
銀行からの融資を返済できなくなったとき、第三者の保証人
は経営に直接関係がなくても銀行から返済を要求されました。
金銭消費貸借契約書などの連帯保証人欄に署名・捺印したの
は第三者保証人自身であり、やむをえないことです。他方、
経営に関係ないのに大きな負担をさせることが問題となり、
銀行の融資では第三者保証人をつけることが原則禁止となり
ました。
中小企業庁からの2006年3月の通達では、「中小企業庁
では、信用保証協会が行う保証制度について、2006年度
に入ってから保証協会に対して保証申込を行った案件につい
ては、社長本人以外の第三者を保証人として求めることを、
原則禁止とします」、とされおり、保証付融資で第三者保証
人を禁止しています。
また、金融庁からの2011年7月の通達では、「金融機関
が企業へ融資する際に、社長以外の第三者の個人連帯保証を
求めないことを原則とする旨の監督指針の改正を実施」され
ており、プロパー融資で第三者保証人を求めることが原則禁
止されました。
このふたつの通達で「社長以外の連帯保証人をお願いします」
と言われることはほとんどなくなったようです。それでも、
これらの通達を無視して、銀行の担当者が社長に「社長以外
の連帯保証人をつけてください」と言ってくるケースがある
ようです。「形だけですから」と言って第三者保証人を要求
する銀行員もいるようですから注意が必要です。
銀行の担当者が「社長以外に連帯保証人をつけてください」
と言ってきた場合は、中小企業庁や金融庁からの通達により、
「第三者保証人は原則禁止となったのではないでしょうか」
と銀行の担当者へ言てください。
社長が連帯保証人の知識を持っていれば、銀行の担当者は、
それ以上、この話はしないでしょう。社長の交渉力は、この
ような知識があることで銀行の担当者と相応な交渉ができる
ようになります。