中小企業では大企業とは違い、経営者の多くがオーナーであ
り、代表取締役社長などの役員になっていると思います。こ
の場合、役員への給与額を増減させることで、会社の利益を
簡単に操作することができます。税務上、これを認めると、
会社の法人税額をいくらでも操作することが可能になります。
このため法人税法では、このような利益操作を防ぐ目的で、
役員に対する給与について、損金算入を制限する規定が設け
てあります。
法人税法上の役員とは、「法人の取締役、執行役、会計参与、
監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人
の経営に従事している者」とされています。
このことは、法律上の役員に加えて、形式上は従業員などで
あっても、法人の経営に従事している人は、法人税法上は役
員として扱われるということです。具体的には、相談役や顧
問といった人が挙げられます。ほかにも同族会社であれば、
使用人でも株式の所有に関して一定の条件を満たす人は、役
員とされることがあります。
同族会社の「みなし役員」は、税務調査で大きな論点となり
やすい項目です。 特に従業員に同族がいる場合には注意が必
要です。 仮に妻を役員に入れず、使用人として給与を支払っ
ている場合などがあります。
●みなし役員
税法上の役員の事を指します。役員として登記されない立場
であっても、役員と同じ扱いを受けている場合など一定の要
件を満たしている者が該当します。実質的な役員とみなされ
役員報酬の制限などを受ける場合があります。
●役員
会社法上の役員の事を指します。使用人とは給与の取扱い
(役員報酬等の制限)など適用されるルールが異なります。
「取締役」「会計参与」「監査役」などです。
●使用人
雇用契約によって、従事する会社の業務を行う従業員、社
員のことです。
いずれにしても、かなりむずかしい判断が求められますから
税理士さんや会計士さんと相談をしながら進めていかれるこ
をお勧めします。