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リスク管理

工場で事故が発生する原因

大手企業の工場における事故がしばしば報道されていますが、
原因はなんなのでしょうか。私は、日本人の経営者は事故に
なりそうな原因を見ないといった不作為がある、と考えてい
ます。理由は、簡単です。事故発生に至っておらず問題ない
として、そのようなところに目をむけたがらないからです。
目をむければ、その説明と相応なコストがついてきます。目
をむけないでもうまくいくという不作為、いわゆる事な
かれ主義でしょうか。
日本の失われた30年の間、常に優先されてきたのが「コス
ト削減」です。いま現在、問題なければ、なにもすることは
ないといった思考です。どのようなプラントもメンテナンス
フリーとでも思っているのでしょう。事故の詳細は、損保ジ
ャパン「工場火災・爆発事故の傾向についてを参照し
てください。

企業においてプラントの保守を担当している責任者は、気が
気でないでしょう。プラントの事故が、いつ起こるかわから
ない状況なのですから、まるでロシアンルーレットでしょう
か。実は、工場内では、少しでも不具合が発生したほうがよ
いのです。不具合という目に見える形になれば、経営職は相
応の対応をするからです。しかし、このような不具合が発生
することなく、プラントなどで爆発事故が起きれば、当然で
すが、プラントの責任者、あるいは経営職は、その責任を取
ることになります。

そのうえ、プラントの事故により生産が不可能となり、売上
の減少や事故による補償などが発生してきます。大手企業で
は、オールリスクで保険を付保していますから、当面の資金
の問題はないのでしょうが、このような事態が発生すること
で、はじめて経営は、新たな経営体制に移行していきます。
しかし、問題の本質を把握することなく、体制だけが転換さ
れるただけであれば、さらに事故は続くでしょう。

企業には、強い部門と弱い部門が必ずあります。強い部門は、
営業部門や生産部門でしょうか。弱い部門は、プラントなど
のメンテナンス部門、あるいは品質管理部門などです。企業
に在籍していれば、このような部門間格差という光景は、必
ずみることになるのではないでしょうか。事故の報道に接す
るたびに、私は、現在でもこの光景はあまり変わっていない
と思っています。他人ごと(よその会社のこと)として自社
のリスク管理などしないからです。そして、また、どかの企
業のプラントで事故が発生します。この現状は、市場が縮小
するわが国においては、これからも減少することはないので
はないか、と私は危惧しています。

一旦、その意味などを顧みずにコストカットすると、それが
継続するのが、愚かな経営でしょう。もっとも、しっかりと
メンテナンスなどをおこなっている企業では、報道されるこ
とがありません。そのような企業では、リスク管理のための
投資を継続的におこなっているものです。一昨日から全銀シ
ステムのシステム障害が発生していますが、経営者は、
積極的にリスク管理がされている企業の体制を自ら学び、自
社のリスク管理に活かしていきたいものです。
日本企業でも優秀な企業は沢山あります。経営者は、その実
態を知ることが、報道よりもより大切なことではないでしょ
うか。

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