中小企業における労働問題は、勝負としてみると、大体
経営者が負けます。それでは勝った従業員は納得できている
のでしょうか。こちらも本人が考えているような十分な補償
はなく、不満が残ることが大半でしょう。
今日、大手企業における企業別の労働組合の組織率は低下し
ていますが、一般労働組合や合同労組等への加入が増え
ているようです。中小企業とて安閑としておれない時代
ではないでしょうか。
私が経営者へ話すことは、労働組合や不満をもっている
社員の存在が会社を成長させていくということです。中小企
業の多くの経営者は、自分がルールだと考えています。いわ
ば社会性を無視した状態といえることが多いのではないでし
ょうか。そこに労働組合や一部の社員からクレームをつけら
れてカッとしてしまい、いらぬ一言から、大きな労働問題に
発展したケースを知っています。
大事なことは、勝負にこだわることよりも、労働組合や社員
から発信される自社のネガティブな内容をよく理解して、自
社の企業成長のために取り込んでいくことです。それこそ、
いい意味でのカウンターパートなのです。このことが理
解できる経営者がいる企業は、間違いなく成長していきます。
理由は、対等な立場で意見交換できるからでしょう。対等な
立場ですから、互いに相手を尊敬できるということです。こ
のことによりきちんとそれぞれの立場や方向性を伝えること
ができ、経営姿勢に対する多くの理解を得ることが可能とな
るのではないでしょうか。