先日、標高約2500メートルにある景色を楽しんできまし
た。もっとも、私は山の知識もありませんので普段着ででか
けました。はじめて登ったところでしたが、麓から専用バス
で40分、ロープウェイが約8分ほどでしょうか、2500メート
ルの場所まで1時間弱ほどで登れてしまいます。急峻な山道
をバスは、たまに拡幅された場所で離合しながらロープウェ
イ乗り場まで運んでくれます。私のような山の素人でも、こ
のように気軽な登山が楽しめるのは大変ありがたいことです。
長い間、事故もなく年中無休でバスやロープウェイの運行を
してくれているわけですから、私は、その恩恵にあずかって
いることになります。
さて、道中の景色を眺めていると、本当に急峻な山だという
ことが理解できます。よくもまぁ、このようなところに道路
やロープウェイを作ったと思うのは、私だけではないでしょ
う。このような危険な場所では、事故があったとき、すべて
の責任が事業者にあるのかと、ふっと頭に浮かびました。事
故があると仮定すれば、急ながけからの落石と運転手の急病
などによる不可抗力による事故でしょうか。どちらも間違い
なく、大事故につながるでしょう。それでも登りたいか、と
自分に問うてみると、先ず冬季は遠慮したいという反応でし
ょうか。では、次回いくことになれば、そのときに考えるこ
とになると思います。私には、かなりリスクが高い登坂だっ
た、と感じたからです。
麓は比較的なだらなか起伏ですが、登っていく傾斜角は素人
目にも相当な角度でした。大切なことは、このような危険な
場所では、登りたいという人にもリスクを分担してもらうこ
とが必要だ、と感じました。運航事業者は、利用する際にリ
スクを明示して、その登山に対応する保険を準備しておくこ
とでしょうか。例えば、〇〇登山リスク保険などの名称でよ
いでしょう。空港にあるような保険加入スタイルでしょう
か。その場でリスクを判断して、すぐに個人で加入できるこ
とが前提です。あるいは、保険付チケット、保険なしチケッ
トというような対応でしょうか。
日本人は、とかく自らで責任をもつということをなかなかし
ません。それは、事業者や行政が、私が感じたようなリスク
を開示すると、観光業に影響すると考えているからでしょう
が、むしろ行政や事業者などが積極的に法的な責任範囲を明
確にすることで人々にリスクを理解させ、登るかどうかの判
断を求めるようにしていかなければなりません。
常に、容易に登れますが、危険と隣り合わせですよ、と。
同様にリスクを開示することなく曖昧な対応をしている観光
地は、全国に結構あると思われますが、多くの人たちにリス
ク教育をすることは、行政や事業者に課せられた使命だと、
私は考えています。他方、事業者の過失によって起こる事故
は、当然、その責任を負うのは当たり前です。だが、不慮や
偶発的な事故というものは、危険な場所であればあるほど、
必ず発生します。日本の中で起こる争いをみていると、この
点で、多くの課題が残っているのではないでしょうか。
2500メートルまで簡単に行けるということは、相応なリスク
が当然あると、私は考えています。危険な場所でも気楽に登
ることができるのですから、偶然の事故があったとき、事業
者や行政にしがみつくだけでは、個人がかかえる問題が解決
することはないでしょう。
厳しい言い方ですが、突然のわかれは、あらゆる場面で
あります。それが人生ではないでしょうか。