労働問題を放置しておいてはいけません。理由は、企業
に問題があるという社員に対して企業側が、はやく、しっか
りとした対応をすることで社員の納得性が高まります。問題
の内容だけにとらわれず、スピード感をもって対応する担当
者の姿を多くの社員はみているものです。言葉も大切なので
すが、担当者の姿勢をみれば、どのような対応をしているの
か、およそわかるものです。
社内に問題がある社員が在籍している場合と、すでに退職し
てから在職中の問題を持ち出してくる場合では、対応が変わ
ります。社員が在籍している場合は、まず、社員の話を聞く
ことからはじめます。私は、だれがクレームをいっているか
ということよりも、何を問題としているかを知ることが問題
解決の早道だと、考えています。
私たち管理部門の人間は、毎日、適法な事業運営を心掛けて
いますが、企業規模が拡大するにつれて、部門内部で問題が
発生することが多くなります。そのため、この点を丁寧に聞
き取りします。
社員が在籍している場合は、その問題の多くが部門長など、
管理職のマネジメントに行き着くことが多いものです。よく
話を聞いたうえで、本人が誤解しているようであれば、その
誤解を解いてあげるようにします。他方、マネジメントに問
題がある場合、管理職を呼んで細かく内容を把握していきま
す。多少の行き違いであれば、双方を呼んで話をすれば解決
しますが、管理職に大きな問題がある場合は、はじめてのケ
ースであれば、問題を指摘して厳しく注意することになりま
す。さらに常習的な問題が続くようであれば、経営職と相談
しながら、管理職本人の処遇を検討することになります。
このように双方の見解を確認するのは、判断を間違わない
ようにするためです。ときには、当事者以外のその他の社員
へも聞き取りをしますが、実務における労働問題の解決は、
この作業の徹底した繰り返ししかありません。
私たち管理部門における仕事の役割は、法律や社内ルールに
基づく事業の適法な遂行を担保することです。社員側に問題
があっても処分しますが、どんなに営業成績がよい管理職で
あっても、社員への問題行為や発言があれば、処分します。
私は、このように適法な対応ができる経営者と仕事をしてき
ましから、自らの仕事に信念をもって立ち向かうことができ
ました。
反対に、管理職として適法な業務遂行を阻む経営者からは、
だいたい首を言わたされました。その結果は、前社は、確実
に成長し、後社は、倒産です。答えは明確です。
どのような問題でも、現実を把握し、だれが言ったかではな
く、なにが問題かをきちんと把握して、すみやかに対処する
以外に問題解決の方法はありません。ただし、退職者からの
問題提起は、別の角度からみる必要性があります。この点は、
またの機会にします。