工場爆発と影響
先頃、トヨタ自動車へばねを納入している中央発條株式会社
の藤岡工場(愛知県豊田市)で自動車用ばねを塗装するライ
ンの乾燥炉が爆発する事故が発生しました。この事故に
より、トヨタ自動車の工場ラインが10日間ほど停止する事
態になっていましたが、中央発條に限らず、トヨタのカンバ
ン方式で生産していれば、他の部品メーカーも操業停止に追
い込まれてしまいます。デンソーだけで、約100億円の
損失だつた、と松井副社長は、2024年3月期第2四半期(202
3年7~9月)の決算会見で発表しています。
その中で、デンソー副社長の松井靖氏の発言内容におけるリ
スク管理に関しては、他の企業でもお手本にしなければなら
ない、と私は考えています。私の言葉などたかが知れていま
すので、その記事内容を次に掲載します。
デンソーから学ぶリスク管理
【日経クロステック/久米 秀尚氏の記事】
デンソーの松井氏は「サプライチェーン(供給網)が爆発や
火事などで途切れるのはすごいリスクだ」と語った。中央発
条の爆発は、乾燥炉と燃焼室の間を循環しているダクトのフ
ィルターが目詰まりしたことがきっかけだった。
デンソー自身は、「サプライチェーンを阻害しないように幅
広く対策している」(松井氏)という。老朽化した設備の更
新については「ケチケチしない」(同氏)とした。工場のダ
クト関連では、「油がたまって着火する可能性も想定して点
検している」
これ以外にも多くの項目で事故予防を進めており、「細かい
ことが多いが現場任せにせず、役員が現場に出た時は必ず安
全点検をする」(同氏)という。このほか、子会社同士で工
場を確認し合う取り組みも実施している。例えば、デンソー
北海道の担当者がデンソー九州の工場をチェックするといっ
た形だ。
経営職が社員の安全と社会機能を担う
記事の内容は、優良企業がどのような方法でリスク管理を実
行しているかという方法を知る手掛かりになります。
デンソーは現場任せではなく、経営職自らが現場に赴きリス
ク管理を徹底しており、さらに日常的なつながりがない組織
を活用した内部けん制をおこなっており、ガバナンスが効い
た体制を構築しています。
コーポレートガバナンスは、言葉の羅列ではありません。経
営職の実行力が常に試されているものです。ひとたび事故が
起きれば、物理的な損失や売上減だけではありません。人の
生命を奪うことさへあるという事実を、経営職は、重く受け
止めていただきたいものです。