労働問題はこじれやすい
中小企業における労働問題がややこしくなる原因の多くは、
経営者と従業員の双方が、労働問題の本質について理解が不
足していること、また、双方が感情的になっていることだ、
と考えています。企業規模が大きくなれば、人事労務につい
てある程度の理解ができている社員(管理職)がいるので、
社内の労務に関する課題を事前に把握し、問題になる前に対
応しています。それでも労働問題は、一筋縄ではいかないこ
とが間々あります。
小さな企業では、社会保険労務士さんが顧問をされている企
業をしばしばみます。社会保険労務士さん第三者であり、労
働問題に関してもある程度理解されていると思います。経営
者と従業員だけの話し合いで、なかなかうまくいかないとき
には、社会保険労務士さんに間に入ってもらい、双方の主張
を確認してもらうことも大切です。
あっせん手続きについて
なかなか双方の埒があかないようなときには、あっせん手続
きを取ってみることも一案でしょうか。
個別あっせんは、個々の労働者と事業主との間の労働トラブ
ル(解雇、賃下げ、配置転換など)について、自主的な解決
が困難になったような場合に、あっせん員が双方の間に入っ
て、話し合いによる解決をサポートする制度です。
あっせんの対象は、個々の労働者(正社員、パート、アルバ
イト、派遣等雇用形態を問いません)と事業主との間の労働
トラブルです。労働者又は事業主のどちらからでも申請でき
ます。
私は、ケースによっては労働局のあっせん手続をもっと活用
するべきだ、と考えています。実際、私が在籍していた企業
で採用したことがありますが、手続きを含めて比較的簡単に
できます。社会保険労務士さんにあっせん手続きのアドバイ
スをもらうことがよいのではないでしょうか。
あっせん手続きは、従業員側から始めることもあれば、会社
側から始めることもあります。あっせん手続がよいのは、手
続きが簡単で、かつ会社が負担する解決金の相場が低いこと
が、あっせん手続きを活用できる理由です。
調停もありか
それでも経営者と従業員の間でそれぞれの主張でもめるとき
は、会社から調停を申し立て、合意形成することを目指すこ
とも検討すべきかもわかりません。調停になれば、各自が調
停のルールのなかで主張をするようになるため、議論の整理
が進みます。特に一旦決めた協議内容を蒸し返すようなタイ
プの人を相手にするときに効果的でしょうか。
いずれにしても専門的対応ができる社会保険労務士、あるい
は労働専門弁護士に相談することをお勧めします。
労働関係に関しては、判断を誤ると大きな代償がまって
います。適切なタイミング、とくに中小企業の経営者であれ
ば、はやめに労働専門弁護士などに相談されることが、私の
経験では一番よい方法だと思います。