労働審判を会社側から申し入れるケース
労働審判手続きは、労働者から申し立てるものと思って
いる経営者や人事担当者が結構いるようです。
昨日書いたように、労働審判手続きは会社側から申し立
てが可能です。労働問題の場合、とくにいろいろなケースが
考えられますが、会社から申し立てる事由には、次のような
内容がありそうです。
・本人ではなく、家族や知人といった第三者が関与して交渉
自体が混乱している場合
・本人が自分の考え方に固執して交渉が平行線状態にある場
合
・複数の社員からいっせいに会社へ要求が出されて収拾がつ
かない場合
・会社に問題はあるが、解決金で折り合いがつかない場合
・本人からの要求が執拗で通常業務にも支障が出ているとき
・要求内容が二転三転して交渉の進展がまったくみられない
場合
・労働問題として理由なき営業妨害に近い行為がなされるよ
うなとき
このようなケースになっていると、交渉が進むどころか、さ
らに交渉が困難な状況になっていくものです。労働問題は、
どうしても双方が感情的になる要素が大きく、いたずらに解
決をむずかしくすることが多くなります。
このような状況にある場合、一度、裁判所で一定のルールの
中で問題点を整理してみることが求められます。
労働問題を適切に解決する方法
中小企業の場合、このような問題を放置していることを見ま
すが、社員側からすれば納得できないことは、企業が放置す
ればするほど怒りに変わっていくものです。
このような状態から労働組合へ駈け込まれて、団体交渉や争
議行為へ移行します。
こうなると専門家でもない経営者にとって、状況はさらに悪
化するばかりであり、経験したことがない困難が待ち受けて
います。今の時代、ある有名な大手企業に在籍している非正
規労働者が、企業との間の労働問題の対応でこじれてしまい、
外部の合同労組へ加入するといったことが起きています。
中小企業では、専任の担当者がいないことが普通ですから、
労働組合との団体交渉を経営者自らがおこなうことなど不可
能に近いものがあります。労働問題を甘くみることなく、前
述したように交渉が膠着した場合、必ず労働専門弁護士へ相
談してください。
私が在籍していた場合でも、必ず労働専門弁護士への依頼を
経営者へ進言します。それがもっともはやく、よい解決につ
ながるからです。
【参考】
資料:レイ法律事務所