労働問題で訴訟になる場合、企業側はかなり不利な状況に追
い込まれますが、そのなかでも雇用継続(現職復帰)となれ
ば、「バックペイ」が発生し、企業側に精神的な負担と
、かなりの額の金銭的な負担を強いることになります。
会社は従業員を解雇すると当たり前ですが、解雇後、元従業
員に対して給与の支払いをしません。しかし、裁判所が解雇
を無効であると判断すると、解雇自体がなかったことと同じ
扱いになります。
その結果、会社は解雇した時点にさかのぼって従業員に給与
を支払うことを命じられます。これをBackpay (さかのぼっ
て支払う)といいます。
解雇トラブルにかかわらず日本の裁判は長くかかること
が多いのではないでしょか。私が経験した範囲でも長くかか
りました。裁判が長くかかれば、バックペイは従業員を解雇
したときから、会社敗訴が確定し、元従業員を復職させるま
での期間が対象となります。その分、バックペイの金額も膨
らみます。中小企業の事例でもバックペイの金額が 1,000万
円を超えることも珍しくないようです。
解雇の裁判で会社が敗訴した場合のダメージは、想像以上に
大きいものになります。そのうえ、会社は解雇が無効とされ
る結果として、解雇した元従業員の雇用の継続を命じられま
す。会社は、セクハラやパワハラの加害社員に対しても、解
雇の訴訟で敗訴すれば、多額の支払いを命じられると同時に、
雇用の継続が命じられるというダブルパンチに見舞われます。
私は経験しておりませんが、このほかに、解雇の裁判では「
地位確認訴訟」があります。解雇された問題社員が地位
確認訴訟を選択した場合、一審だけでも短くて 1年、長けれ
ば2年ほどかかるようです。裁判は弁護士に依頼しますが、
弁護士から直接事情を確認されたり、あるいは弁護士からの
求めで資料を収集したりと、かなり多くの時間と労力を割く
ことになります。裁判になれば費用と労力の負担を覚悟する
ことが必要です。