中小企業の経営者ほど、社員に与えることを忘れてはいけな
いのではないでしょうか。理由は、社員が稼いでくれるから
です。
このことが理解できている経営者は、賃金、あるいは仕事を
する自由度を十分に配慮していました。本来であれば、賃金
も仕事の自由度も同時に配慮できることがベストですが、こ
とはそう簡単にいきません。創業経営者の性格や資質にもよ
るからです。
それでも、成長している企業の創業経営者は、どちらかは、
しっかりと配慮していました。賃金で十分報いるか、あるい
は、仕事の自由度で報いているかの、どちらかでした。
ところが、成長しない中小企業の創業経営者は、このどちら
にも配慮が足りません。当然、社員には不満が充満していま
した。経営者に対する不信感は、態度にでるほどでしょうか。
そして次々に、他社へ移ることができる能力がある人たちは
企業から去っていきます。
老子の一節ですが、「これを奪わんと欲すれば、必ず姑
くこれに与う」という諺があります。この意味は、「取ろう
とするなら、先ず与えよ」ということです。私も随分と与え
ていただきました。今でも感謝しています。
このような人間の機微を知ることが大切ですが、これができ
る経営者は、古典を学んでいなくとも、自然とこのような配
慮できています。
企業が成長するには、それなりの理由が存在するのです。金
勘定に明け暮れる前に、経営者としての姿勢を学ぶこと
が大切なのかもわかりません。
私にも簡単にできませんが、私がみてきた中小企業で発展し
ている企業の創業者は、不思議とこのことができていました。