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経営マネジメント

私の営業能力と経営センスを磨いてもらったある中小企業の経営者

メーカーの立場から中小企業をみていた私は、経営者から多
くのことを学ばせていただきました。私は、経営層と入魂な
関係であった中小企業での営業はしていません。そのような
企業は、私より上の先輩方が担当していましたし、上司や営
業所長、あるいは営業部長といった人たちと深いつながりが
ありました。
結論から話せば、それらの多くの企業が倒産し、在籍してい
企業は、大手企業同士の合併で生き残りました。

経営者にとって重要な要素のひとつは、入魂であっても緊張
感あるビジネスの関係を維持しておくことだ、と思います。
経営の原理原則をしっかりともっておくことです。
簡単なたとえで言えば、メーカーからお願いされる月末の無
理な販売を受け入れないことです。依頼のための餌としては、
いくばくかお金(販促費用)をメーカーからもらえますが、
自社の足腰を弱くします。いわゆるメーカーに対してええか
っこする状態でしょうか。
わが社は、メーカーさんに協力的ですよ、といった経営行動
です。これは中小企業経営の危険な兆候なのです。

私は、自らの営業活動でどのような中小企業を支援してきた
か、といえば、経営活動の原理原則をもって事業をされてい
るところを応援してきました。
先ず、経営スタンスが厳しい中小企業でしょうか。月末に押
し込み販売などを受け入れませんでした。もちろん、月初す
ぐに販売先が決定していた商品は、月末でも入庫しますが、
いわゆるメーカーからお願いされる仕入はしない、メーカー
の目標販売達成のための仕入には協力しないということです。
厳しい姿勢を貫かれていました。
また、手形での支払はなく、翌月銀行振込で一括決済です。
もっとも、メーカー側でも振込による支払、いわゆる現金決
済の場合、キャッシュ割引3%(販売額の3%)がありまし
たから、このようなことができる企業は資金に余裕があり、
キャッシュによる対応が可能です。その結果、さらにキャッ
シュリッチになっていきます。キャッシュがキャッシュを増
やすのです。

このような企業で営業活動をしていくことは、まさに自ら経
営をまじかに、実践のなかで勉強させてもらっていたという
ことでしょう。
今でも元気に、この厳しい時代を生き残って活躍しています。
私が営業から離れた後、私が担当し、売上を大きく増やした
営業所の所長(創業者の三男)をされていた方が、社長をさ
れ、今は会長職となっているようです。
元々、創業者がリヤカーで営業をはじめたと話ておられまし
たが、その後、長男、次男が社長をされて、私に対して、中
小企業の経営の在り方を指導してくれた三男が社長をされた
ようです。長男、次男と年齢差がありましたし、兄弟仲が良
いのですが、長男は三男を厳しく指導されていました。

人間的な幅があり、やさしい方でしたが、経営姿勢は厳しか
ったです。
多くのメーカーの営業担当者の方たちを大事にされていまし
た。メーカーを大事にしないと、我々のような中小企業は成
長できないからと、言っているのが印象的でしたが、対照的
な姿勢は、決してメーカーの言いなりにならないところでし
ょうか。
ビジネスの緊張感をもたせてくれた経営者(当時は営業所長)
でした。

私は、この方に非常にかわいがってもらい、同じ企業の社員
の方のようにいろいろなことを教えていただきました。また、
このような厳しい姿勢、メーカーの押し込み販売など受け入
れないという姿勢、をもっていたことから、私は、自分が販
売する製品は、実際に売れる約束ができていることがポイン
トだと考え、毎月にどこでどれだけ販売するかを綿密に計画
を立てて販売活動をするようになりました。
この企業における経営姿勢から自ら学びとったことです。私
が本当に力をいれさせてもらった企業です。中小企業経営の
お手本になる企業でした。

そのときの営業活動の一部は、著書にも書かせていただき
ました。
それほど私にとって影響力があった中小企業です。営業職と
して成長させていただいた原点は、この企業と、のちに経営
者となる、この方との出会いでした。

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