私は、営業時代メリハリをつけた営業活動をしていまし
た。
将来、伸びそうな企業には徹底的にサポートし、甘えの構図
がある、現在もダメだが、将来性もない企業に対しては、厳
しく対応しました。販売活動に責任をもつ立場からすれば、
当たり前の行動をしてきただけだ、と考えています。
どのように販売促進費をつかっていくか、という担当者とし
ての責任があるからです。この点で、代理店から言われぱな
しの先輩などをみると、怒りがこみあげてきました。そのよ
う姿勢で企業から販促予算を預かれるのか、と考えてきまし
た。
なにかには、代理店に多額の販促費のつけがあり、代理店か
ら会社側へ申し入れがあり、発覚、そして退職していった先
輩などもみてきました。
このようなことにならないためには、自分の目で代理店の成
長の可能性や、経営に対する考え方、社員を含む会社の実態
を把握して、自分がもっている販促予算をどのように配分す
るか、を深く考えて営業活動をしてきました。
もっとも、私が嫌った経営は、主体性がない経営者が存在し、
社員教育は行き届かず、メーカーを顎で使い、しかもたかり
体質の企業です。このような企業には、販促費を縮小し、販
売数量を意図的に落とすようにしてきました。どの道、倒産
か、別な企業に吸収されると予測していたからです。
結果は、代理店の中で売上、利益ともに抜群に稼いでいた、
経営能力が高い優秀な経営者が率いる企業に買収されました。
駄目な企業から転籍した社員は、教育されたのでしょう、見
違えるように態度が変わりました。経営者でこれほど違うの
か、ということが、ハッキリとわかった瞬間でした。
そのほかの企業では、一部地域でお山の大将になっている経
営者が率いる企業です。この県では、うちを使わなければ、
売上が上がらないぞ、と脅されましたので、私は、全国的な
売上の中でこの県の私どもの売上が、何パーセントあるか、
ご存じですか、と言ってみました。当然、このような経営者
にはわかりません。私は、全国で0.2%ですよ、と。なぜ、そ
こで無理な販促費を使って売る必要があるのでしょう、と話
すと、驚いた顔をするとともに、おたくの商品は売らない、
といいました、私は、どうぞおたくのメインであるメーカー
さんの商品を誇りをもって販売してください。私どもは、私
どものメインの代理店さんで販売を拡大していきます、と。
かなり強烈な営業スタイルだったように記憶します。
長い時間軸の中で、前社は倒産し、後社は大手企業のグルー
プへ入りましたが、私たちといっしょに営業活動に励んでい
た息子さんが社長をされ、今日に至っているようです。
私は、決して中途半端な販促費の使い方はしませんでした。
また、いいなりで販促費を使うこともありません。使いすぎ
るのも、私の責任。使わないのも私の責任なのです。エリア
経営者として当たり前のことをしてきました。
常に、自社優位となる営業活動をどのようにするかは、ひ
とえに販促費を預かる営業担当者の決断にかかっています。
だからこそ、営業活動は、自分が主体となり経営判断がで
きることで、面白く、ダイナミックなものだっと思います。
甘い企業には、厳しく、厳しい企業には、やさしくが私の
営業哲学だったでしょうか。