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経営マネジメント

大手企業の解雇事件から学ぶ

中小企業における解雇トラブルの主因は、経営者の拙速
なやり方でしょうか。中小企業の経営者は、自分がすべて
だ、と言わんなかりに有無を言わさずやりますから、解雇事
件に発展しなかったのは運がよかったと、思っておいたほう
がよいでしょう。

中小企業でも、これから事業を拡大していきながら、社員数
を増やすなど検討している会社は、大手企業における解雇事
件などを参考に、労務管理の意識をもつことと、その対応方
法を学んでおくことで経営マネジメントが格段にあがります。

とくに大手企業で解雇が有効だとされたケースは、中小企業
にとって学ぶべきマネジメントが満載です。ただし、無料で
学べますが、やはり専任の人事担当者の育成をおこなうこと
が前提となります。
経営者が、こんなことばかりやっていれば経営は、早晩立ち
行かなくなるでしょう。そこは、分業をしていくことと、専
門家である弁護士をははやめに顧問にしておくことです。顧
問料ばかり気にする経営者がいますが、転ばぬ先の杖なので
す。将来のことがみえる経営者でなければ、結果的に事業は
拡大していきません。

具体的なケースですが、NECソリューションイノベータ事件
(東京地判平成29年2月22日)があります。この事件は、
大企業の正社員における能力不足によって解雇が有効とされ
た事案です。
判決は、解雇を有効と認める理由として、会社が従業員に対
して、「勤務成績が著しく不良であることを感銘付ける努力
を行っている」ことを指摘しています。
「感銘付ける」というのは、「心にきざみつける」という意
味です。私のような無教養な人間には、非常にわかりにくい
言葉です。裁判所というところは、教養をみせつけるところ
なのでしょう。
私のような教養なしには、イライラすることばかりが多かっ
たでしょうか。裁判官と直接向き合うときは、面従腹背の自
分が苦痛でしかたありませんでしたが。。。

話が脱線しましたが、この裁判例は解雇に関するものですが、
退職勧奨のとき、退職について話し合いをする場面がありま
すが、その場合の対応につても、同様に重要なことが含まれ
ています。
判決がいう「勤務成績が著しく不良であることを感銘付ける」
ことにより、本人に自分にあわない職場であることを明確に
認識させることができているかどうかで、本人が、退職を納
得して受け入れるかどうかも決まるというのです。

企業においては、問題がある社員は能力不足だけでなく、他
にもパワハラ、セクハラなどハラスメント行為を繰り返す従
業員、業務命令に従わない従業員など様々な社員がいますか
ら、このような事例でも、「職場のメンバーとして不適格で
あることを感銘付ける努力」をして、本人が自分にあわない
職場だと、はっきりと認識させておくことが、合意による退
職を成功させるための前提となってくることが理解できます。

そこで、昨日の書いたいじめのケースでは、何回か注意と指
導を書面でおこない、最終的には、配置転換をおこないまし
た。このケースは、配置転換をすることで社員自らが退職し
ましたが、世の中には、これでも平然といすわる人間もいる
やに聞きます。だからこそ、職場のメンバーとして不適格で
あることを感銘付ける努力が必要になってきます。

このような社員の勤務実態に対して、都度、書面で指摘しな
がら「感銘付ける」ことを人事担当者や責任者は実施するこ
とになります。
人の一生の一部を預かっているのですから、企業を守ると同
時に、そのような人間に対しても丁寧な対応をしていくこと
は、なにも法律だけに限らず、人としての思いやりではない
でしょうか。そのようなことを感じることができれば、人は、
本来、自分がいるべき場所へ旅経っていけるのかもわかりま
せん。
いずれにしてもルールや仕事の結果という明確さと、人とし
ての思いやりがあればできることですが、なかなかこれがで
きないのが中小企業です。だから、大手企業の対応を学ぶこ
とで、自らの経営姿勢を正していくことが可能となるではな
いでしょうか。

 

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