いろいろな業種をみてきた私からみると、建設業は全員経営
がやりやすい、でしょう。理由は、建設業会計に基づき会社
経理ができるからです。建設業会計は、他の業種でいえば、
いわば部門別の管理会計をやっているようなものでしょう。
建設業会計は、工事の着工から引き渡しまで1年以上かか
ることが多い建設業界の特殊性を考慮して作られた財務会計
の制度です。
簡単に言えば、工事別に売上(予定売上)、原価(予定原価)
経費(予定経費)を計上していきます。一般的な取引と決定
的に違うのは、工事が完成するまで、バランスシートに原価
や経費を計上します。未成工事支出金として一括計上してお
きます。工事が完成するまで、プールしている状態でしょう
か。
長期間に渡る工事ですから、工事受注時に作成したそれぞれ
の予算があるのが普通ですから、毎月原価や経費のチェック
が欠かせません。いわゆる進捗管理が前提となっていること
がポイントです。
このことは、社員教育で工事別に計数管理することを徹底す
れば、全社員が経営者と同じように計数管理ができます。サ
ービス業や製造業よりも、工事別管理のほうが、計数管理が
簡単です。また、建設業会計の専用ソフトを利用すれば、工
事別管理をやさしく、わかりやすく、スピディーにおこなう
ことができます。
あとは、業界の慣習などに染まることなく、自社優位な技術
力を徹底的に磨くことです。どんなに工事管理がうまくでき
ても競争力がない企業では、必ず赤字になるのも建設業の特
徴です。
会計システムを活用しながら、いかに業界内において自社の
ポジションを確立できるかが、勝負のわかれめになるのでは
ないでしょうか。