執行役とは、委員会設置会社において業務執行を行う役
割で、会社法によって設置が義務付けられています。執行役
は、会社法に基づいて取締役会の決議で選任され、取締役と
兼務することも可能です。
執行役が複数いる場合には代表執行役を選任します。
執行役は、取締役と同様に会社と委任関係を結ぶことになり
ます。
取締役が決定した経営方針に従って業務を執行するという役
割は執行役員と同じです。
本来の企業の在り方では、執行役がおり、それを監督するの
が取締役とした組織形態のほうがわかりやす、と私は考えて
います。
現在では、このような体制で事業運営をおこなう企業が増え
てきているのではないでしょうか。
組織形態は、企業の実情に応じて構築するほうがよいのでし
ょうが、中小企業のように創業経営者のトップダウンで企業
が成長していく場合の取締役の存在はむずかしいものがあり
ます。
経営者が、どこかの時点でギヤチェンジできればよいのでし
ょうが、私がみてきた範囲では経営者が暴走していることが
多く、問題をつくり、事業運営の決定に関して牽制をかける
取締役はおらず、破綻しました。
このような不幸なケースが、日本の中小企業では多いのでは
ないでしょうか。
中小企業から大きく成長できる場合は、やはり経営者と他の
取締役の分担機能がうまくいっているようです。
もっとも中小企業における取締役の役割は、会社法でいうと
ころの経営陣の牽制役、監視役としての役割ではなく、取締
役会で決定された事項の「執行役」としての役割のほうが大
きいものです。
参謀役としてどれだけ精緻な戦略や計画を提案しても、実行
できなければそれは絵に描いた餅です。中小企業の場合、と
くに決定した計画を実行に移すのは、取締役の最も重要な役
割です。
このような計画と実行というバランスが取れている取締役が
いる企業では、事業運営がうまくできており、結果的には、
中小企業から抜け出していくように思われます。