この頃、第三者委員会という言葉をよく聞くようになりまし
た。その言葉は、不正などをおこなっていた企業が、内部調
査をするために弁護士などへ依頼しておこなわれるときに目
にします。
簡単に言えば、自分たちでは調査ができない、あるいは自分
たちの調査では信用が担保されない、と考えているのでしょ
う。第三者へ依頼して調査してもらいました、というお墨付
きを得ることのようです。
私には自分たちできないということが、そもそも理解できま
せんが、不正をおこなった当事者は調査報告もできないもの
なのでしょうか。
このような依存体質があるからこそ、不正は増加してい
くのだと、私は考えています。いわば経営において当事者不
在現象が多いのが経営の実態かもわかりません。
第三者委員会による調査費用は、どれくらいかかるのか、と
思っていましたが、私でも簡単な試算は可能です。
弁護士に依頼するとすれば、時間単価5万円くらいでしょう
か。事務所によっては、この単価が高くなる場合があります
が、私が経験した範囲や弁護士事務所の時間報酬などを参考
にすると、最低でも5万円くらいはかかるでしょう。
仮に弁護士10名として、調査を2か月間やるとすれば、8
時間✖60日(休日含む)=480時間かかります。
調査費用は、10名✖480時間✖5万円=2億4千万円に
なります。
不正の受益者は、ばれなければ企業ですが、大きな不正がば
れてしまうと、たとえばダイハツのような不正では、企業の
損失は計算できない額になっています。操業の目処が立たな
いからです。
小規模な不正をおこなっても、その回収費用などで相応な額
が報告されています。
不正の受益者がどこかと言えば、弁護士事務所や会計事務所
ということになるのでしょうか。
不正をおこなえば、自社の損失とともに、その調査費用、さ
らに内部統制などの機能強化といった作業をおこなわなけれ
ばなりません。
言うほど簡単ではりませんが、全体最適を考えれば、不正
ほど企業を棄損する行為はないのではないでしょうか。
独立自尊の経営職や管理職が必要な意味は、ここにもあるの
です。