私はソニー子会社時代に預金管理の担当をしていました。大
手企業の場合、余裕資金があれば、親会社預け金にしておき
ます。理由は、利息がつくからです。このやりとりは、支払
管理、入金管理、当座預金の管理などを含めて対応します。
要は、無駄な資金をなるべく手元におかずに親会社へ預けて
おきます。
いわゆる資金繰りのなかで親会社預け金を有効に活用してい
ることになりますが、私がいた子会社などは大した金額では
ありませんが、当時、ソニーでは国内の子会社だけで約12
00社ほどありましたから、親会社に資金を集中させれば、
大きな資金量になります。それだけ親会社の資金需要を満た
すことになり、借入金の利息を考えれば、相当な貢献をして
いることになります。
私は当座貸越を知りませんでした。ある日、当座預金に
残高がないにもかかわらず預金が引き落とされていました。
上司に変なことになっています、といったように記憶します。
預金の管理をしっかりとやっていなかったな、としかられ、
当座貸越契約をしているので残高がなくても引き落とされる
ことを理解しました。
では、大丈夫ですね、というと、ダメですと、言われました。
当座貸越の契約はしているが、金利を取られるので、利用し
てはいけません、と厳命されました。
大手企業では、このようなわずかなこともおろそかにしない
で資金管理をしていることを知りました。
当座貸越は、中小企業で利用される場合、必要な時に直ぐに
極度額の範囲内で繰り返し借入が可能です。売上が入金され
るまでの運転資金や予定外の費用の発生等に利用できる制度
です。
制度を準備しておくことで、資金繰りを安定させることがで
き、安心して事業の経営にあたることができます。
当座貸越契約とは、借入可能な「借入限度額(極度額)」を
設定し、その範囲内で借入と返済を繰り返す融資方式です。
一旦極度額を設定すると、当座貸越契約期間中は、借入の都
度、新規借入の申込手続きを行う必要が無く、資金必要時に
極度額の範囲内において借入ができます。
ちなみにプロパーで当座貸越を利用できるためには、次のよ
うな条件があるようです。
・自己資本比率が高いこと
・直近の決算書は黒字であること
・業歴が5年以上あること
・高い格付けで正常先であること
中小企業で利用しようとしても、なかなかハードルが高いの
です。
先ずは、稼ぐ経営ができてからになるでしょう。制度が利用
できる企業体質へ転換するための目標にすることはよいこと
でしょう。自らの経営レベルを引き上げることにつながりま
す。
銀行から当座貸越契約をしてもらえませんか、といわれるよ
うな経営を目指してください。
私が在籍した中小企業で当座貸越契約をしていた企業はあり
ませんでした。
1社だけは、契約が可能でしたが、無借金経営でしたから、
当座貸越契約をしておいたほうがよいのでしょうが、現預金
が潤沢だったことから契約をしなかったようです。
こんな経営を目指してください。間違いなく企業は、成長し
ていくことでしょう。